ここが乙女ゲームの世界でも好きにさせてもらいます!
「そんなことが起きていたとは……」
「そういえばヘルマンさんがさっき持ってきた手紙って……」
「おお、そうだった。大変失礼いたしました。エレノアお嬢様、こちらです」
ヘルマンが懐から取り出した手紙の裏側には、予想通りの名前が書かれていた。
「……やっぱり、レイズからね」
用意周到にペーパーナイフを持っていたジーナがエレノアから手紙を受け取り、慎重に開封する。
「なんと書かれておりますか……」
ヘルマンが手紙のほうへと身を乗り出すと、ジーナも一緒に覗き込んだ。
「じゃあ、読むわね。『前回の手紙のこと、信用してもらえたかな? あなたを幸せにする私からのプレゼントだと受け取ってほしい。それと『ヴァレンティルの花へ』のことをもっと詳しく知りたければ、ヴァレンティル図書館へ行くといい。二階の三十九番通路に、隠された重要なものがある。それを開ければ、このゲームの世界がどんなものか理解できるだろう』……だそうよ」
さらに便箋の二枚目には丁寧に、それがある場所と開き方が書かれていた。
「……どうされますか?」
ジーナの問いかけに、エレノアはもう一度レイズからの手紙に目を落とす。
「なにか危険を孕んでいるような気もいたしますが……」
ヘルマンの言うことも頷ける。
レイズがどんな人物で、どういう考えを持っている人間なのか。たとえ『絶対にあなたを幸せにしてみせます』と言っていたとしても、エレノアに危害を加えないとは限らない。
でもここで悶々と考えていても、答えが出ないのなら――。