ここが乙女ゲームの世界でも好きにさせてもらいます!
「エレノア様へお手紙でございます」
手紙を届けに来たのは、めずらしいことに執事長のヘルマンだった。
受け取ろうとジーナが手を出すも、ヘルマンはなぜか彼女に差し出すことなく手紙を懐にしまいこむ。
「……どうかしたのですか、ヘルマン」
エレノアはそう言って、普段の様子と違うヘルマンの元へと歩み寄った。
「エレノアお嬢様……大変、申し上げにくいのですが、なぜエレノアお嬢様へ急にこんな何通もお手紙が届いているのでしょうか。しかも一通は王家からのものです。同じく王家から旦那様宛のお手紙を預かっている身としましても、よろしければ理由を窺いたく思いまして……」
ヘルマンが不審に思うのも無理はない。これまでこんなに頻繁に、エレノア宛に手紙が来たことはなかった。
「一使用人の身分で、出過ぎたことと承知はしております。ですが、わたくしはエレノアお嬢様になにかあったのではと心配で……」
ヘルマンはジーナ同様、いつもエレノアの味方をしてくれる数少ない使用人の一人。他の使用人はエレノアに対して気の毒そうな顔はしても、解雇されるのが怖くてレイラに気を遣う者がほとんどだ。
ヘルマンはレイラのあの件以来、両親から忘れ去られた存在のエレノアを育ててきたと言っても過言ではなく、エレノアも彼を心から信頼していた。
「一使用人の身分だなんて、寂しいことを言わないで。私にとってはヘルマンも家族みたいなものなのよ……そうね、ヘルマンにも話しておかなくてはね」
泣きそうな顔をしているヘルマンへ、エレノアはレイズと王太子からの手紙を見せながら、これまでの経緯を話した。