ここが乙女ゲームの世界でも好きにさせてもらいます!
「うーん……Aの棚ってこちら側よね……」
「そうですね」
――『三十九番通路、Aの棚の下から三段目、“Easter Egg”と背表紙に書かれた本を開き、そこにあるボタンを“HANA”と押す』
レイズの手紙にはそう書かれていた。
「ええと……あっ、これかしら」
本は、三段目の棚の一番端に置かれていた。
その厚い本を手にしておそるおそる開いてみると、そこには木製ボタンが取りつけられた木板が収められていた。
「開いたら紙ではなく木板で、しかもボタンがあるなんて変な本ですね」
ジーナは本をしげしげと見つめている。
確かに本が分厚い割にはそのボタンのページしかなく、箱のような妙なつくりになっている。
「じゃあ、押してみるわね……」
伸ばした人差し指の指先が震えている。意識しないようにしていたつもりだったが、体は嘘をつけないようだ。
「待ってください。このボタンを押したあと、エレノアお嬢様になにかあってはいけません。ここは私奴が」
ジーナは意気軒昂な面持ちでエレノアが手にしていた本をひょいと受け取り、入力する文字を一文字ずつ確認しながらボタンを押していく。最後の文字を入れ終わるとどこからともなく珍妙な音楽が流れ、カチリとなにかがはずれたような音がした。