ここが乙女ゲームの世界でも好きにさせてもらいます!


そんな出来事を思い出しながら、エレノアは王家の紋章が描かれた手紙にまた目を通していた。

レイズから例の手紙が届いた数日後の昨日、レイズが書いていたとおり、王太子のクリストフからエレノアへ求婚を示唆するような内容の手紙が届いた。
クリストフとは面識があるが、彼が王太子という立場上、これまで儀礼的な挨拶以外ほとんど言葉をかわしたことはない。それにエレノアが直近で求婚されるようななにかをした覚えもないし、政治的ななにかもない。

「……この手紙のこと、レイラが知ったらなんと言うかしらね」
「おそらく、今エレノアお嬢様がご想像されているとおりではないかと」

ジーナはそう言って、ムッとした顔をしている。ジーナの気持ちはいつも嬉しいが、あとで「あまり感情を表に出しちゃだめよ」と窘めなくては、とエレノアは思う。

公爵令嬢でありながら、エレノアがこの歳になるまで婚約者がいないのは、レイラがいつも横槍を入れるせいだった。
エレノアの婚約者候補を横取りしては「やっぱり私には不釣り合いでしたわ」といい、あっさり断るという愚行を繰り返している。
当然、両親はそんなレイラを窘めることもせず、カートライト家の評判を落とそうが意に介す様子もなかった。

「でもご安心ください。その手紙のことはヘルマンさんにお願いして、手紙を目にしたものすべてに口止めしております。それと同時に来た、王家から旦那様へのお手紙も、旦那様がいらっしゃらない間ヘルマンさんに預かっていただいております。誰かが裏切らない限り、少なくとも数日はレイラ様が知ることはないかと」

< 7 / 17 >

この作品をシェア

pagetop