「庭の千草」狂詩曲
俺はクレアは教授のことを愛しているんだなと、この時やっと悟った。

「クレア、教授が」

クレアは教授の側に走り寄り、教授の顔を見つめて、耳を澄ませた。

クレアのヴァイオリン演奏に、ダフィット教授が目を開け、教授の口が微かに動いた。

「……クレア……愛している……」

教授の唇の動きを読み取り、クレアは教授の体を抱きしめた。

教授は頬にひとすじ、涙を滲ませ、目を閉じた。

心電図モニターの機械音が、無情に鳴った。

「先生ーーッ」

クレアの泣き叫ぶ声が虚しく響いた。

クレアは教授の側を離れようとはしなかった。

ホスピスの職員と俺とで、教授に抱きついて離れないクレアを宥めて引き剥がした。

教授の葬儀には、大学の学生たちも訪れた。

俺はクレアの隣で、打ちひしがれたクレアを支えて献花した。

落ちこんだクレアは観ていられなかったが、放ってはおけなかった。
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