「庭の千草」狂詩曲
詩月は、薄明かりの中でピアノを弾いていた。

電灯のスイッチをつけると、天井のLEDライトが煌々と部屋を照らした。

詩月は明かりの眩しさに数秒、演奏を乱したが直ぐに立て直した。

「詩月」

理久がポンと詩月の肩を叩き、詩月を呼ぶと詩月は指を止めた。

「電灯も着けずに」

理久はハア~と、ため息をついた。

「夕飯、用意できたから呼びにきた」

「!? もうそんな時間?」

「ああ。珍しいよな、お前のショパン、久々に聴いた」

「……嫌味? 周桜宗月のショパンだったはずだけど」

「少しは休んだのか?」

詩月は返答をスルーした理久を見上げ、首を傾げた。

「ほら、立て」

理久は言いながら、詩月の手を引いた。

詩月は戸惑いながら立ち上がったが、クラッと眩暈を感じてふらついた。

理久は素早く詩月の体を支えた。

「大丈夫か、いったい、どのくらいピアノを弾いていたんだ?」
< 136 / 359 >

この作品をシェア

pagetop