「庭の千草」狂詩曲
「あのヴァイオリンはクレアさんが師事していた教授から譲られた楽器だと聞いているわよ」
「ママ、知らないの? あのヴァイオリン、値段があってないようなものだと言われているのよ。『シレーナ』どういう意味か知っている?」
「『シレーナ』はイタリア語でしょう?」
「ギリシャ語でセイレーン、ドイツ語ではローレライ。あのヴァイオリンは、そう呼ばれているの」
息子嫁は「ヒッ」とひきつれた声を漏らし、黙りこんだ。
「歌声を聞いた船乗りは錯乱して舵取りを誤り、難破すると言われているセイレーン。そう呼ばれる曰くつきのヴァイオリン。でも、ストラディバリと並ぶヴァイオリンの名器。クレアさんが師事していた教授は何者? 曰くつきのヴァイオリンを弾きこなしている詩月くんにも驚きだわ。もしもクレアさんが腱鞘炎で演奏家を諦めていなかったら、宗月さんはクレアさんと結婚しなかったかもしれない」
「ママ、知らないの? あのヴァイオリン、値段があってないようなものだと言われているのよ。『シレーナ』どういう意味か知っている?」
「『シレーナ』はイタリア語でしょう?」
「ギリシャ語でセイレーン、ドイツ語ではローレライ。あのヴァイオリンは、そう呼ばれているの」
息子嫁は「ヒッ」とひきつれた声を漏らし、黙りこんだ。
「歌声を聞いた船乗りは錯乱して舵取りを誤り、難破すると言われているセイレーン。そう呼ばれる曰くつきのヴァイオリン。でも、ストラディバリと並ぶヴァイオリンの名器。クレアさんが師事していた教授は何者? 曰くつきのヴァイオリンを弾きこなしている詩月くんにも驚きだわ。もしもクレアさんが腱鞘炎で演奏家を諦めていなかったら、宗月さんはクレアさんと結婚しなかったかもしれない」