「庭の千草」狂詩曲
小百合は矢継ぎ早に捲し立てた。

「小百合、よしなさい。のめり込みすぎるのは良くないわ。詩月くんは、そのヴァイオリンしか弾けないわけではないし、他のヴァイオリンもちゃんと弾けるわ。今日、弾いたヴァイオリンはお母さんの形見のヴァイオリンだったし、エリザベートコンクールのファイルで弾いたヴァイオリンもお母さんのヴァイオリンだったそうよ」

「でも……」

「ヴァイオリンが詩月くんに演奏させているのではないの。詩月くんがヴァイオリンを自分の意志で演奏しているのよ。ピアノも同じ。父親が宗月さんであろうが他の誰かであろうが、詩月くんは詩月くんでしょう。お母さんは詩月くんを周桜Jr.と言ったこと、1度もないわ」

「ーー第1の詩月」

小百合はポツリ、呟いた。

「ねえ、ママ。宗月さんの怪我、どの程度だったのかしら? 交通事故だったんでしょ。輸血はどうだったのかしら」
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