「庭の千草」狂詩曲
詩月の胸がトクンと強く鳴った。

拳をキュッと握りしめる。

「宗月の怪我だけでも心配なのに」

「いえ、僕より父が。元気そうにしていたけれど、内心は萎えているはずだから。僕には何もできないし、向こうに居ると気が滅入るので……」

詩月は沈んでいる気持ちを悟られまいと、ダラダラと言い訳をした。

「血液型のこと、宗月が黙っていてごめんなさいね」

詩月はやはりそうか、と身構えた。

彩月は理久に話した宗月とクレアの帰国のくだりから順を追って話した。

「クレアも宗月もずいぶん悩んで決めたんだと思うの」

「軽々しく決められることではないのは、解っているつもりだよ」

詩月は自分自身、他に言いたいことはあるはずなのに、と思う。

「クレアは3ヶ月くらいまで気づいていなかったの、教授の子を妊娠していること」

詩子が詩月の握りしめた拳を両手で包みこんだ。

「教授……その人が僕の父親」

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