「庭の千草」狂詩曲
ハインツは知らせるだけ知らせると、病室を飛び出していった。

詩月は大学に履修科目の届出をし、リハビリを済ませてスマホを確認した。

「理久、何か急な用事? リハビリをしていて」

理久からの着信だけでも、数えると計5回もかかっていた。

詩月のスマホにはミヒャエルや貢だけではなく、理久や詩子、郁子や小百合、XCEON のメンバーなどから着信が入り、通知音が鳴り止まなかった。

詩月はやけに連絡が入る日だ、くらいにしか思っていなかった。

「何か用事じゃねえよ。例の件がヤバいことになっている。週刊誌やワイドショー、SNS、かなり拡散されてーー大丈夫か?」

詩月には理久の声の調子から、かなり心配しているのが伝わった。

「特に変わったことはないけれど」

詩月は薄墨色の偏光サングラス、マスクを着用し、顔を隠している。

目深にワークキャップも被っている。
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