「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)
墓の前に膝まずき、十数分手を合わせたまま祈りつづけた。

「詩月。ダフィット、彼がお前の実の父親だ。クレアのお腹にお前が宿っているのを知った時、彼は亡くなった後だった」

宗月がしんみりと静かな声で、詩月に話した。

「厳しい指導者だった。人を寄せつけない気難しい人だと思われていたのか、学生と和やかに話す様子を観たことはなかったが、クレアと私には、色々と気遣いをしてくれていたように思う」

「何しろ、口数の少ない人でね。かなりのヘビースモーカーだった。灰皿か吸殻で溢れていない日はなかったよ」

ユリウスがしんみりとした空気を温めようとしたのか、笑いながら言った。

「レッスンの時、お手本に時々ヴァイオリンを弾いてくれたわ。ガダニーニの音色に聞き入って、感激しずきて放心状態になる私を観て笑顔になったわ。安物で傷だらけのヴァイオリンを弾いていた私に、先生がガダニーニをくださったの」
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