「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)
「シレーナ」の音色が見せる幻なのか、彼ら3人は耳を疑った。

演奏が進んで行くにつれ、疑問が幾重にも浮かんだ。

だが、それ以上に懐かしさや感動で胸が熱くなった。

クレアと宗月は詩月がこれ程の弾き手に育ったこと、詩月を育み指導した詩月のヴァイオリンの師匠、今は亡き「千住百合子、リリィ」に感謝した。

「ユリウス、ありがとうな」

そしてウィーンで詩月のヴァイオリンの指導を快く承諾してくれたユリウスにも、心からこみあげてくる感情の念を口にした。。

「詩月がこんな演奏をするとはな」

ユリウスは染々と感情をこめて言った。

「先生の『夏の名残りの薔薇』……先生が演奏しているようだわ」

クレアの声は嗚咽に近かった。

ーーああ、親子だ。まぎれもなく、ダフィット教授と詩月は実の父と子だ

宗月は認めるほかなかった。

親子は自然と演奏が似てしまう。

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