「庭の千草」狂詩曲
宗月の目は険しかった。

怒っているように見えたが、真剣さが伝わってきた。

今まで誰からも「君のこの指は……」などと言われたことがなかった。

夢を叶えるーーなど、そんな大きな希望を考えてもいなかった。

ただヴァイオリンが弾ければよかった。

色々な曲を演奏できることが嬉しかったし、楽しみだった。

「それに、俺はダフィット教授の言葉に疑念を持った。君のヴァイオリンがどんなヴァイオリンだったとしても、演奏するのはクレア、君なんだ」

「意味がわからないわ。先生は何と言ったの?」

「意訳すると君のヴァイオリンが『ローレライ』の異名を持つ、曰く付きの楽器だと」

私は少しも驚かなかった。

「それは私も聞いているし、実際に私がガダニーニのヴァイオリンを弾いているからという理由で、みんな伴奏を嫌がるのよ」

先生からガタニーニのヴァイオリンを手渡されて以来、ピアノ伴奏をよく断られる。
< 52 / 359 >

この作品をシェア

pagetop