「庭の千草」狂詩曲
午前中はコンテスタントの演奏を聞いた。

待ち長い順番だったが、先生と隣席で座り鑑賞した。

宗月は午後、わたしの順番の1時間前にコンクール会場に着いた。

午前中はコンサート楽団との音合わせだったと言う。

緊張と不安でいっぱいいっぱいだった気持ちが少しほぐれた。

「クレア、塗り薬は早めに塗っておけよ。痛みは、どうだ?」

宗月はわたしの様子を観て、まめに指示を出す。

「楽譜はちゃんと揃っているか」

「うん、大丈夫」

わたしは楽譜を取り出し、確認して答えた。

「ダフィット教授の具合はどうだ?」

宗月は先生をチラっと見て、わたしに耳打ちした。

「今日は調子がいいと言っていたわ」

「そうか。念のため、ユリウスとエィリッヒに声をかけておいた。もうそろそれ着くはずだ」

宗月の気遣いには、いつも感心させられる。

細々としたことにまで、よく気がつく。

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