「庭の千草」狂詩曲
先生と目が合った。

先生が手を挙げて、左右に数回振った。

が・ん・ば・れ

ゆっくりと、口が動き声が聞こえた気がした。

ホッと、ひと息吐いて客席に向かって、ゆっくり1礼した。

ヴァイオリンを構える。

パガニーニ:《ゴッド・セイヴ・ザ・キング》による変奏曲。

パガニーニ自身はどれほど手が大きく柔軟だったのだろうと思う。

パガニーニの作品の中でも極めて難しい曲だ。

この曲もヴァリエーション豊かに展開される。

手が疲れてくる後半。

右手で音を保ちながら、左手のピチカートのオンパレードの部分ある。

そこは音域的にも出にくい箇所もあり、とくに難しい。

ヴァイオリンの機能を知り尽くした技巧的な効果を駆使した多彩な表現。

「失敗すると、何だたいしたことないな」と言われるのは間違いない。

ヴァイオリン奏法のあらゆる技術を詰め込んでいて聞いている分には難しさを感じさせない。

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