「庭の千草」狂詩曲
指の先端まで神経を集中させなければ弾けない。

繊細さが要求される。

演奏しながら何度も指が吊りそうになった。

宗月のピアノ伴奏が耳に心地好かった。

がんばれ、がんばれと優しく語りかけてくる。

難しい曲を難しいと思わせない。

ーー心だ、心を伝えるんだ

演奏しながら、何度も宗月の言葉を胸の内で唱えた。

音符の羅列で冷たい印象に思えた楽譜が暖かみを帯びていく。

今までに出場したコンクールとは違っていた。

演奏していて楽しかった。

指の痛みを忘れていた。
< 86 / 359 >

この作品をシェア

pagetop