嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
絶え間なく降り注ぐ緑の光は、床を跳ねては雨粒のように消えていく。結界に包まれながら、カイはしばしその光景を見上げていた。
「マルグリット様のお力も相当なものだったが、次の星読みはそのさらに上を行くのう……」
感慨深くつぶやかれた言葉に、カイの意識が戻される。収束していく緑の雨を、しわの刻まれた小さな瞳でおばばは静かに見やっていた。
「マルグリット・ラウエンシュタイン……彼女は龍の花嫁になったと、そう聞きました」
「いかにも。星読みを継ぐ者として避けられぬ宿命じゃ。マルグリット様は毎年多額の寄付をくださってのう……あの頃は随分と贅沢な暮らしができたものじゃ」
突然俗な話題を持ち出して、おばばは沈痛な面持ちでため息をついた。
「ときにお主はベアトリーセ様の息子であろう? 母に見習って、わしに袖の下を包んでも良いのじゃぞ?」
「は……?」
いきなり母親の名を出されたカイは、騎士の仮面をつけることも忘れて、あからさまな態度で顔をしかめた。
「ベアトリーセ様はマルグリット様を随分と崇拝なさっておった。マルグリット様が龍の元に行った後しばらくは、ベアトリーセ様がくれる布施が頼みの綱でのう」
あの頃は本当に良かったと、おばばはもう一度大きくため息をついた。
「あいにくわたしは信仰心を持たない人間なので」
「そうかそうか。ふぉっふぉ、正直なところも気に入った」
敵意を隠しきれないでいるカイに、おばばは調子を崩すことはなかった。飄々とした顔で、カイのことを面白そうに見上げている。
「マルグリット様のお力も相当なものだったが、次の星読みはそのさらに上を行くのう……」
感慨深くつぶやかれた言葉に、カイの意識が戻される。収束していく緑の雨を、しわの刻まれた小さな瞳でおばばは静かに見やっていた。
「マルグリット・ラウエンシュタイン……彼女は龍の花嫁になったと、そう聞きました」
「いかにも。星読みを継ぐ者として避けられぬ宿命じゃ。マルグリット様は毎年多額の寄付をくださってのう……あの頃は随分と贅沢な暮らしができたものじゃ」
突然俗な話題を持ち出して、おばばは沈痛な面持ちでため息をついた。
「ときにお主はベアトリーセ様の息子であろう? 母に見習って、わしに袖の下を包んでも良いのじゃぞ?」
「は……?」
いきなり母親の名を出されたカイは、騎士の仮面をつけることも忘れて、あからさまな態度で顔をしかめた。
「ベアトリーセ様はマルグリット様を随分と崇拝なさっておった。マルグリット様が龍の元に行った後しばらくは、ベアトリーセ様がくれる布施が頼みの綱でのう」
あの頃は本当に良かったと、おばばはもう一度大きくため息をついた。
「あいにくわたしは信仰心を持たない人間なので」
「そうかそうか。ふぉっふぉ、正直なところも気に入った」
敵意を隠しきれないでいるカイに、おばばは調子を崩すことはなかった。飄々とした顔で、カイのことを面白そうに見上げている。