嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「強情な方だ。貴女がどう思おうと事実は事実。邪な存在が神域であるこの城に入れないことは、貴女もよくお分かりでしょうに」
愚者を憐れむような表情は、慈愛に満ちていると言うに相応しい。それなのに寒気で粟立つ肌を、リーゼロッテはどうにも抑えることはできなかった。
「星読みを継ぐ者でありながら、何も真実を知らされていないとは……。貴女も哀れな方だ」
「真実?」
「ええ、この国の闇ですよ。遅かれ早かれ貴女は国の犠牲となる。王家にいいように利用されたくなかったら、貴女はわたしの言葉に素直に耳を傾けるべきだ。貴女を救えるのは、このわたしだけなのですから」
「勝手なこと言わないで……! 不安を煽ってわたくしを言いなりにできると思ったら大間違いよ」
「そんなつもりは毛頭ないのですがね。いずれ貴女にも、わたしの言っている意味が分かるときが来るでしょう。そのとき貴女は自らわたしの手を取ることになる」
ゆるぎない自信に、さらに恐怖をかき立てられる。
「さて。この邂逅をもっとたのしみたいところですが、あいにくわたしも忙しい身。今日はこれで失礼させていただきます」
廊下の先を一瞥すると、神官は気負いなくリーゼロッテの脇を通り抜けた。身構えるも、あっさり去っていく背に拍子抜けをする。
神官の歩く先に、こちらに向かってくるルルの姿が見えた。ふたりは軽く会釈をし合い、言葉を交わすことなくすれ違った。
「リーゼロッテ様、お探ししておりました」
「ルル……」
安堵でへたり込みそうになりながら、震える言葉を紡ぎだす。
「彼はどうしてここにいたの?」
「この城では定期的に神官による儀式が行われております。訪問する神官は、必ずしもあの方とは限りませんが」
「儀式……? 一体何の?」
「遺憾ながら、わたしには何が行われているのか知らされておりません。唯一申し上げられるのは、ラウエンシュタイン家当主にかかわる大切な儀式ということです」
「当主にかかわる……? ねぇ、ルル。マルグリット母様は今どこでどうされているの? それにわたくしはどうして養子に出されたの?」
愚者を憐れむような表情は、慈愛に満ちていると言うに相応しい。それなのに寒気で粟立つ肌を、リーゼロッテはどうにも抑えることはできなかった。
「星読みを継ぐ者でありながら、何も真実を知らされていないとは……。貴女も哀れな方だ」
「真実?」
「ええ、この国の闇ですよ。遅かれ早かれ貴女は国の犠牲となる。王家にいいように利用されたくなかったら、貴女はわたしの言葉に素直に耳を傾けるべきだ。貴女を救えるのは、このわたしだけなのですから」
「勝手なこと言わないで……! 不安を煽ってわたくしを言いなりにできると思ったら大間違いよ」
「そんなつもりは毛頭ないのですがね。いずれ貴女にも、わたしの言っている意味が分かるときが来るでしょう。そのとき貴女は自らわたしの手を取ることになる」
ゆるぎない自信に、さらに恐怖をかき立てられる。
「さて。この邂逅をもっとたのしみたいところですが、あいにくわたしも忙しい身。今日はこれで失礼させていただきます」
廊下の先を一瞥すると、神官は気負いなくリーゼロッテの脇を通り抜けた。身構えるも、あっさり去っていく背に拍子抜けをする。
神官の歩く先に、こちらに向かってくるルルの姿が見えた。ふたりは軽く会釈をし合い、言葉を交わすことなくすれ違った。
「リーゼロッテ様、お探ししておりました」
「ルル……」
安堵でへたり込みそうになりながら、震える言葉を紡ぎだす。
「彼はどうしてここにいたの?」
「この城では定期的に神官による儀式が行われております。訪問する神官は、必ずしもあの方とは限りませんが」
「儀式……? 一体何の?」
「遺憾ながら、わたしには何が行われているのか知らされておりません。唯一申し上げられるのは、ラウエンシュタイン家当主にかかわる大切な儀式ということです」
「当主にかかわる……? ねぇ、ルル。マルグリット母様は今どこでどうされているの? それにわたくしはどうして養子に出されたの?」