嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「ええっと、あっと、その……」

 そんなことを聞いている場合だろうか。サロン中がとんでもないことになっている。大きな音にびくりと身を震わせると、刺激されたごりごりがさらに質量マシマシでおしりに当たってきた。

「まだ駄目なのか?」
「い、今はそんなこと言ってる場合じゃ……!」
『あれ、リーゼロッテ、公爵家の呪いが起きる原因、まだ聞いてないんだ?』

 突然反対側の耳元で、ジークハルトの声がした。引き離すようにジークヴァルトに抱えなおされる。目の前であぐらをかいたジークハルトは、睨みつけるジークヴァルトに向かって呆れたように肩をすくませた。

『いい加減、教えてあげたら? ここまで来て往生際が悪いんだから。ま、リーゼロッテも大概(さっ)しが悪いと思うけど』
「うるさい、黙れ。知る必要はない」
「でもわたくしちゃんと知りたいですわ」
『じゃあ教えてあげるよ。つまりはこういうこと』

 いきなりソファが左右に揺れて、慌ててジークヴァルトの首にしがみついた。その間にも激しく揺らされ、リーゼロッテのおしりが膝の上を行ったり来たりを繰り返す。

「ひゃっあのっそのっ、何がっ一体っそういうことっなのでしょうかっ」
『だーかーらー、さっきからリーゼロッテに当たってるでしょ? ヴァルトがリーゼロッテにそういうことしたくなった時に、異形たちが騒ぎ出すんだってば』

 思わずごりごりに視線を向けた。ジークヴァルトのごりごりは、おしりの下でごりごりを通り過ぎて、もうはちきれんばかりになっている。

「えぇっと?」

 リーゼロッテが挙動不審に目を泳がせる。いまだサロンが大騒ぎの中、ジークヴァルトが再び耳に口元を寄せてきた。

「それでまだ駄目なのか?」

 話を振り出しに戻されて、リーゼロッテはボンと真っ赤になった。ふぅと耳に息を吹きつけられて、びくっと身を震わせる。途端に異形が雄叫びをあげ、あちこちで使用人の悲鳴が飛び交った。

「だ・ん・な・さ・まぁっ!!」 

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