嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
少年の肩に手を伸ばした男は、次の瞬間、泡を吹いて地べたに転がっていた。冷めたまなざしで、少年は男を見下ろしている。
「な……っ!」
「同じ目に合いたくなかったら、そいつを連れて今すぐ立ち去れ。目障りだ」
躊躇するように、男たちが顔を見合わせた。そこに先ほどの従者が、剣を片手に駆け込んでくる。青ざめた男たちは失神した仲間を担ぎあげ、慌てて逃げ去っていった。
「カイ様! ご無事ですか!?」
「愚問だよ」
それ以上は従者を無視して、カイと呼ばれた少年は改めてベッティの手を取った。
「じゃあ行こうか」
「行くって……あたいをどこに連れてく気だ」
「どこって君の父親のところ」
「誰がそんな話、信じるかよ。それにどうしてお前があたいの父ちゃんを知ってんだ」
「だって君はオレの妹みたいだから」
「は……?」
ぽかんと大口を開けたベッティに、少年は蓋をされたままの懐中時計を掲げて見せた。そこにはベッティのカフスボタンと同じ、蛇と梟の紋章が刻まれている。
「これは正真正銘デルプフェルト侯爵家の家紋だ。おめでとう。あのカフスボタンを持っていた君は、そこの当主の娘だと証明された」
冷めた瞳のまま、カイは当然のように言い切った。
「あ、あんた、なにとち狂ったこと言ってんだよ?」
「君の父親は貴族だって、さっき自分でそう言ったんだろう?」
「それはそうだけど……」
さすがのベッティも次の言葉を失った。そんなうまい話があってたまるかとも思ったが、こんな自分を相手に、カイがそこまでの嘘をつく真意が掴めない。
「子供の戯言です、カイ様」
「そうでもないんじゃない? だってコレ、あの男がいかにも好きそうでしょ?」
窘める従者に向けて、少年はベッティの髪をひと房持ち上げた。ベッティは母親譲りの真っ白い髪をしている。里親だった男の家族に、老婆のようだとよく嘲笑されたものだ。
「な……っ!」
「同じ目に合いたくなかったら、そいつを連れて今すぐ立ち去れ。目障りだ」
躊躇するように、男たちが顔を見合わせた。そこに先ほどの従者が、剣を片手に駆け込んでくる。青ざめた男たちは失神した仲間を担ぎあげ、慌てて逃げ去っていった。
「カイ様! ご無事ですか!?」
「愚問だよ」
それ以上は従者を無視して、カイと呼ばれた少年は改めてベッティの手を取った。
「じゃあ行こうか」
「行くって……あたいをどこに連れてく気だ」
「どこって君の父親のところ」
「誰がそんな話、信じるかよ。それにどうしてお前があたいの父ちゃんを知ってんだ」
「だって君はオレの妹みたいだから」
「は……?」
ぽかんと大口を開けたベッティに、少年は蓋をされたままの懐中時計を掲げて見せた。そこにはベッティのカフスボタンと同じ、蛇と梟の紋章が刻まれている。
「これは正真正銘デルプフェルト侯爵家の家紋だ。おめでとう。あのカフスボタンを持っていた君は、そこの当主の娘だと証明された」
冷めた瞳のまま、カイは当然のように言い切った。
「あ、あんた、なにとち狂ったこと言ってんだよ?」
「君の父親は貴族だって、さっき自分でそう言ったんだろう?」
「それはそうだけど……」
さすがのベッティも次の言葉を失った。そんなうまい話があってたまるかとも思ったが、こんな自分を相手に、カイがそこまでの嘘をつく真意が掴めない。
「子供の戯言です、カイ様」
「そうでもないんじゃない? だってコレ、あの男がいかにも好きそうでしょ?」
窘める従者に向けて、少年はベッティの髪をひと房持ち上げた。ベッティは母親譲りの真っ白い髪をしている。里親だった男の家族に、老婆のようだとよく嘲笑されたものだ。