嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
正直言って、本当にカイと血のつながりがあるのか、ベッティはちっとも自信はなかった。あのあばずれだった母親を思うと、本当の父親はどこかのつまらない馬の骨ということもあり得るだろう。
それでもカイはベッティの世界そのものだ。兄妹でも、赤の他人でも、そんなことはどうでもいい。
本当なら今頃ベッティは、とうに野垂れ死んでいたはずだ。あのときカイが見つけてくれたから、ベッティは今ここで生きている。
(わたしのすべてを、このひとに捧げよう……)
カイが死ねと言うなら、迷いなく命を絶てる。しあわせに生きろと言うのなら、どうあってもそうなろうとこころに決めた。
それからすぐに始まった訓練に、ベッティは懸命に取り組んだ。諜報活動に役立つ技術から、潜入捜査で使える侍女のスキルまで、幅広くかつ最短で習得していく。令嬢の作法を習うよりもずっと性に合っていて、ベッティがデルプフェルト家の戦力になるまでに、そう長い時間はかからなかった。
多くの捜査をこなす中で、ベッティはカイの立場の危うさを知った。本家にいる人間たちは、みなカイに対しておかしな態度を取り続けている。
ある者は蔑み見下して、ある者は過剰なまでに恐怖し、ある者は腫れ物を扱うように振る舞った。まるで忌むべき怪物がやってきたような、そんな異様な反応ばかりだ。
それは兄姉でも、使用人でも、同じようなものだった。ただカイの元で動く使用人たちだけは、恐れを持ちつつも絶対的な信頼を寄せている。
ほかの兄姉たちは現場を知らない作戦を立て、安全な屋敷の豪華な椅子の上から、ふんぞり返ってとんちんかんな命令を下す。それがまかり通っているのは、下で動く者たちの優秀さゆえだ。供に最前線に立ち、常に的確な指示を出すカイが、慕われるのは当然のことだろう。
カイに命を捧げられる人間は、多分ベッティだけではないはずだ。そのことが、ただひたすら誇らしい。
それでもカイはベッティの世界そのものだ。兄妹でも、赤の他人でも、そんなことはどうでもいい。
本当なら今頃ベッティは、とうに野垂れ死んでいたはずだ。あのときカイが見つけてくれたから、ベッティは今ここで生きている。
(わたしのすべてを、このひとに捧げよう……)
カイが死ねと言うなら、迷いなく命を絶てる。しあわせに生きろと言うのなら、どうあってもそうなろうとこころに決めた。
それからすぐに始まった訓練に、ベッティは懸命に取り組んだ。諜報活動に役立つ技術から、潜入捜査で使える侍女のスキルまで、幅広くかつ最短で習得していく。令嬢の作法を習うよりもずっと性に合っていて、ベッティがデルプフェルト家の戦力になるまでに、そう長い時間はかからなかった。
多くの捜査をこなす中で、ベッティはカイの立場の危うさを知った。本家にいる人間たちは、みなカイに対しておかしな態度を取り続けている。
ある者は蔑み見下して、ある者は過剰なまでに恐怖し、ある者は腫れ物を扱うように振る舞った。まるで忌むべき怪物がやってきたような、そんな異様な反応ばかりだ。
それは兄姉でも、使用人でも、同じようなものだった。ただカイの元で動く使用人たちだけは、恐れを持ちつつも絶対的な信頼を寄せている。
ほかの兄姉たちは現場を知らない作戦を立て、安全な屋敷の豪華な椅子の上から、ふんぞり返ってとんちんかんな命令を下す。それがまかり通っているのは、下で動く者たちの優秀さゆえだ。供に最前線に立ち、常に的確な指示を出すカイが、慕われるのは当然のことだろう。
カイに命を捧げられる人間は、多分ベッティだけではないはずだ。そのことが、ただひたすら誇らしい。