嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
煌びやかな夜会は何もかもが現実離れしていて、緊張を通り越し、もはや神経が麻痺してしまっている。
悠然と玉座に腰かけていたハインリヒ王は、驚くほど美しい顔立ちをしていた。
(子供のころ下町で見た肖像画も十分に綺麗だったけど、大げさに描かれているだけだってみんな笑ってたっけ)
しかしあの迫力を絵に閉じ込めるのは、逆に不可能だろう。本物の王を目の前にして、ルチアはそんなことを思った。
ブルーメ子爵とファーストダンスを終えた後、次から次にダンスを申し込まれた。全員に名乗られたが、すぐに誰が誰だか分からなくなる。かろうじてフーゲンベルク公爵だけは認識できたものの、立て続けに踊らされて、細かいことは何も考えられなくなった。
ただ無意識にカイの姿を探す。貴族の数が多すぎて、どれだけ見回しても見つけ出すことはできなかった。息も絶え絶えになったころ、ようやくブルーメ子爵にダンスフロアから連れ出される。
これで終わりかと思ったら、休む間もなく子爵とともに多くの貴族に声をかけて回った。その途中でリーゼロッテに会い、知り合いがいたことにルチアは小さく安堵した。
(それにしても相変わらず美しいひとだわ……)
まぶしい笑顔でリーゼロッテはルチアのことをほめてきた。綺麗なひとに綺麗と言われても、素直には頷けないというものだ。リーゼロッテを前にしたら、どんなお姫様でも霞んで見えるに違いない。
彼女は生まれながらの貴族だ。どんなに着飾ろうとも、自分など張りぼてに過ぎないと思い知った。
(リーゼロッテ様たちはもう帰るのね)
自分も早く帰りたい。そうは思うものの挨拶回りはまだまだ続くようだ。
「ルチアはだいぶ疲れているようであるな。ここらで一度休憩を入れようか、うん」
子爵の言葉にほっとするも、帰れるわけではないのだと落胆の息がついて出た。
「あら、ルチア様、ご機嫌よう。あなたも今日でようやく貴族の仲間入りね。一応おめでとうと言っておくわ」
「ありがとうございます、イザベラ様」
やっと座れると思ったタイミングで、ブラル伯爵と連れ立ったイザベラに遭遇する。たれ目父娘の登場に内心むっとしつつも、ルチアは綺麗な所作で礼を取った。
煌びやかな夜会は何もかもが現実離れしていて、緊張を通り越し、もはや神経が麻痺してしまっている。
悠然と玉座に腰かけていたハインリヒ王は、驚くほど美しい顔立ちをしていた。
(子供のころ下町で見た肖像画も十分に綺麗だったけど、大げさに描かれているだけだってみんな笑ってたっけ)
しかしあの迫力を絵に閉じ込めるのは、逆に不可能だろう。本物の王を目の前にして、ルチアはそんなことを思った。
ブルーメ子爵とファーストダンスを終えた後、次から次にダンスを申し込まれた。全員に名乗られたが、すぐに誰が誰だか分からなくなる。かろうじてフーゲンベルク公爵だけは認識できたものの、立て続けに踊らされて、細かいことは何も考えられなくなった。
ただ無意識にカイの姿を探す。貴族の数が多すぎて、どれだけ見回しても見つけ出すことはできなかった。息も絶え絶えになったころ、ようやくブルーメ子爵にダンスフロアから連れ出される。
これで終わりかと思ったら、休む間もなく子爵とともに多くの貴族に声をかけて回った。その途中でリーゼロッテに会い、知り合いがいたことにルチアは小さく安堵した。
(それにしても相変わらず美しいひとだわ……)
まぶしい笑顔でリーゼロッテはルチアのことをほめてきた。綺麗なひとに綺麗と言われても、素直には頷けないというものだ。リーゼロッテを前にしたら、どんなお姫様でも霞んで見えるに違いない。
彼女は生まれながらの貴族だ。どんなに着飾ろうとも、自分など張りぼてに過ぎないと思い知った。
(リーゼロッテ様たちはもう帰るのね)
自分も早く帰りたい。そうは思うものの挨拶回りはまだまだ続くようだ。
「ルチアはだいぶ疲れているようであるな。ここらで一度休憩を入れようか、うん」
子爵の言葉にほっとするも、帰れるわけではないのだと落胆の息がついて出た。
「あら、ルチア様、ご機嫌よう。あなたも今日でようやく貴族の仲間入りね。一応おめでとうと言っておくわ」
「ありがとうございます、イザベラ様」
やっと座れると思ったタイミングで、ブラル伯爵と連れ立ったイザベラに遭遇する。たれ目父娘の登場に内心むっとしつつも、ルチアは綺麗な所作で礼を取った。