嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
『近頃のリーゼロッテは、寸分(たが)わず聖女と息ぴったりだからね』
「わたくしの守護者と?」
『うん、それだけ同調してたら失敗のしようがないって感じ』

 守り石に負けず劣らずの勢いで、リーゼロッテは瞳を輝かせる。

「だとしたらうれしいですわ。やっぱりマルグリット母様の力が(ほど)けたからなのですね」

 その背後には、未だマルグリットの力がマントのように覆いかぶさっていた。何度も危機から守るうちに膜が破れ、ほつれた残りが辛うじて引っかかっている感じだ。

(あと一回くらい危険な目にあったら、今度こそ消えてなくなりそうだけど)

 だとしても今のリーゼロッテなら支障はないだろう。それくらい今の彼女は、自分の力を上手に扱えていた。

「でもよかった。それほど同調出来ているのなら、聖女の自覚もバッチリですわね」
『自覚?』
「ほら、ハルト様、以前おっしゃってましたでしょう? わたくしの守護者は守護者としての自覚がないみたいだって」
『ああ、うん、でも……』
「でも?」

 ジークハルトがじっと見やると、リーゼロッテも確かめるように自分の背後を振り返った。

『聖女は未だにやる気も自覚もないみたいだよ?』
「ええっ」

 涙目になったリーゼロッテが、祈りのポーズで何やらぶつぶつと言い始める。

「聖女様。前にも申し上げましたが、聖女様がわたくしの守護者なのはきっとあなたの運命なのです。ですので、しっかりきっぱり自覚をもって、全力でわたくしを守ってくださいませ!」
『わ、こんなときはびっくりするくらい同調できてないね』
「そんなっ!? せ、聖女様、お願いいたしますわっ」

 わたわたとするリーゼロッテの全身から、不規則に緑の力があふれ出た。心乱れると制御が利かなくなるのは相変わらずだ。

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