嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
「まぁまぁ! ティール家へようこそ!」
招待されたティール家のお茶会で、出迎えたのはかなり高齢のご夫人だった。彼女はティール公爵の母親だ。ジークヴァルトと並び立ち、リーゼロッテは美しい所作で礼を取った。
「パウラ様、本日はお招きいただきありがとうございます」
「あたくし、あなたに会える日を本当に心待ちにしていたの! お噂通り可憐な方ね、その薄桃色のドレスがとってもよくお似合いよ! でもあなたにはフリルいっぱいでもっと濃いめの桃色もお似合いになると思うのよ? 今度あたくしが一式あつらえても良いかしら? ね、ぜひそうさせてちょうだい!」
ハイテンションの出迎えに、リーゼロッテはぱしぱしと目を瞬かせた。何しろパウラが纏う衣装は、全身ドがつくショッキングピンクだ。
(チカチカしすぎて、ずっと見ていると眩暈がしてきそうだわ)
彼女がピンク好きというのは筋金入りのことらしい。テーブルクロスから飾りの花に至るまでピンク尽くしで、華やかなことこの上ない。パウラが主催するこの席は「桃色の茶会」と呼ばれ、招待客は桃色の装いで来るよう指定を受ける。社交界ではここに呼ばれることが、ひとつのステータスとなっていた。
リーゼロッテはお茶会仕様の華美にならない程度のドレスをチョイスした。ジークヴァルトも普段は着ないようなピンクグレーのジャケットを急遽仕立て、袖や裾には桃色の糸で刺繍が施されている。
なんだかホストっぽくてこっそり笑ってしまったリーゼロッテだったが、この席でなら浮いているどころか、むしろ地味に思えてくるから不思議なものだ。
「今日はフーゲンベルク夫妻を迎えてのお茶会よ! なんて素敵な日なの! みなさんも存分にたのしんでらしてね!」
招待客は自分たちを含めて数組の紳士淑女だった。この人数にしては、舞踏会でも開けそうな大広間でのお茶会だ。
(今日は絶対にあーんも抱っこもさせないんだから)
隣に座るジークヴァルトに警戒しつつも、当たり障りなくお茶会は進んでいった。主催者のパウラはハイテンションのマシンガントークで場を盛り立てていく。そのうち紳士たちは片隅に追いやられ、パウラは桃色の淑女たちだけを周りに侍らせた。
引き離されて不服そうにしつつも、ジークヴァルトも紳士たちと言葉を交わしているようだ。リーゼロッテはひとりで粗相をしないようにと、いっそう気を引き締めた。
「まぁまぁ! ティール家へようこそ!」
招待されたティール家のお茶会で、出迎えたのはかなり高齢のご夫人だった。彼女はティール公爵の母親だ。ジークヴァルトと並び立ち、リーゼロッテは美しい所作で礼を取った。
「パウラ様、本日はお招きいただきありがとうございます」
「あたくし、あなたに会える日を本当に心待ちにしていたの! お噂通り可憐な方ね、その薄桃色のドレスがとってもよくお似合いよ! でもあなたにはフリルいっぱいでもっと濃いめの桃色もお似合いになると思うのよ? 今度あたくしが一式あつらえても良いかしら? ね、ぜひそうさせてちょうだい!」
ハイテンションの出迎えに、リーゼロッテはぱしぱしと目を瞬かせた。何しろパウラが纏う衣装は、全身ドがつくショッキングピンクだ。
(チカチカしすぎて、ずっと見ていると眩暈がしてきそうだわ)
彼女がピンク好きというのは筋金入りのことらしい。テーブルクロスから飾りの花に至るまでピンク尽くしで、華やかなことこの上ない。パウラが主催するこの席は「桃色の茶会」と呼ばれ、招待客は桃色の装いで来るよう指定を受ける。社交界ではここに呼ばれることが、ひとつのステータスとなっていた。
リーゼロッテはお茶会仕様の華美にならない程度のドレスをチョイスした。ジークヴァルトも普段は着ないようなピンクグレーのジャケットを急遽仕立て、袖や裾には桃色の糸で刺繍が施されている。
なんだかホストっぽくてこっそり笑ってしまったリーゼロッテだったが、この席でなら浮いているどころか、むしろ地味に思えてくるから不思議なものだ。
「今日はフーゲンベルク夫妻を迎えてのお茶会よ! なんて素敵な日なの! みなさんも存分にたのしんでらしてね!」
招待客は自分たちを含めて数組の紳士淑女だった。この人数にしては、舞踏会でも開けそうな大広間でのお茶会だ。
(今日は絶対にあーんも抱っこもさせないんだから)
隣に座るジークヴァルトに警戒しつつも、当たり障りなくお茶会は進んでいった。主催者のパウラはハイテンションのマシンガントークで場を盛り立てていく。そのうち紳士たちは片隅に追いやられ、パウラは桃色の淑女たちだけを周りに侍らせた。
引き離されて不服そうにしつつも、ジークヴァルトも紳士たちと言葉を交わしているようだ。リーゼロッテはひとりで粗相をしないようにと、いっそう気を引き締めた。