嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「そうか! よかった、この調子でもっともっと良くなろう」
「そうね……元気になったら、またあなたとダンスがしたいわ……昔みたいに、一緒に踊ってくれる?」
「もちろんだとも! そうしたらドレスを新調しよう。君の黒髪に似合う素敵なドレスだ!」
映像が出逢ったあの日に立ち帰った。何もかもが美しく輝いて、見つめ合うふたりは軽やかに踊り続ける。
「リーゼロッテ」
名を呼ばれ、はっと意識を戻した。目の前には手を差し伸べたまま返答を待つ紳士がいる。その横で彼女がぴったりと紳士に寄り添っていた。
――もう一度、彼と踊れたら……上へと昇っていけそうな気がする
眩しそうに彼女は頭上を見やった。天空から光の狭間が見え隠れしている。あれが閉じてしまったら、自力では天に還れなくなるだろう。
――だからわたしの代わりに、あなたが踊って欲しい
「悪いが妻は……」
「ジークヴァルト様」
紳士に断りを入れようとしたジークヴァルトのジャケットを掴む。不安げな彼女に頷いて見せてから、リーゼロッテは囲う腕に手を重ねた。
「この方と踊らせてくださいませんか? おひとりまでなら、ほかの方と踊っても良いのでしょう?」
盛大に刻まれた眉間のしわに、負けじと真剣な眼差しを向ける。彼女の願いを叶えてあげたい。穏やかに天に還れるように。
その思いが届いたのか、ジークヴァルトは諦めたように腕から力を抜いた。
「これが終わったらすぐ帰るからな」
「はい、ありがとうございます、ヴァルト様」
微笑んで、紳士に向き直る。
「お誘い、よろこんでお受けいたしますわ」
「お応えいただき光栄です」
「そうね……元気になったら、またあなたとダンスがしたいわ……昔みたいに、一緒に踊ってくれる?」
「もちろんだとも! そうしたらドレスを新調しよう。君の黒髪に似合う素敵なドレスだ!」
映像が出逢ったあの日に立ち帰った。何もかもが美しく輝いて、見つめ合うふたりは軽やかに踊り続ける。
「リーゼロッテ」
名を呼ばれ、はっと意識を戻した。目の前には手を差し伸べたまま返答を待つ紳士がいる。その横で彼女がぴったりと紳士に寄り添っていた。
――もう一度、彼と踊れたら……上へと昇っていけそうな気がする
眩しそうに彼女は頭上を見やった。天空から光の狭間が見え隠れしている。あれが閉じてしまったら、自力では天に還れなくなるだろう。
――だからわたしの代わりに、あなたが踊って欲しい
「悪いが妻は……」
「ジークヴァルト様」
紳士に断りを入れようとしたジークヴァルトのジャケットを掴む。不安げな彼女に頷いて見せてから、リーゼロッテは囲う腕に手を重ねた。
「この方と踊らせてくださいませんか? おひとりまでなら、ほかの方と踊っても良いのでしょう?」
盛大に刻まれた眉間のしわに、負けじと真剣な眼差しを向ける。彼女の願いを叶えてあげたい。穏やかに天に還れるように。
その思いが届いたのか、ジークヴァルトは諦めたように腕から力を抜いた。
「これが終わったらすぐ帰るからな」
「はい、ありがとうございます、ヴァルト様」
微笑んで、紳士に向き直る。
「お誘い、よろこんでお受けいたしますわ」
「お応えいただき光栄です」