嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 これはまずい流れだ。夜会に出たい理由をもっと、考えて告げるべきだった。過保護なジークヴァルトを説得するための、そんな言葉をなんとか探した。

「だけどわたくしっヴぁ、るとさまと……」
「駄目だ、却下だ、諦めろ」

 口づけを深められて、リーゼロッテはいやいやと首を振った。
 このまま誤魔化されてしまいそうで、泣きべそをかきながらジークヴァルトに手を差し伸べた。耳に手をかけるとさらに口づけが降ってくる。

 隙を見ていろいろと訴えかけた。そのたびに拒否をされ、代わりに何度も唇を啄まれる。だんだんと気持ちよさが勝ってきて、訳が分からなくなってきた。

「ヴぁ、るとさまが、もうわたくしのものだって、みなに、ちゃんと知ってもらいたくて……だから、わたくし……」

 息も絶え絶え、譫言(うわごと)のように漏らした。激しかった動きがぴたりと止まる。自分が何を言ったのかも定かでない状態で、リーゼロッテはジークヴァルトと見つめ合った。

「ヴぁるとさま……?」

 指を絡めあったままジークヴァルトは動かないでいる。それを不思議に思って、リーゼロッテは小さく小首をかしげた。

「レルナー家の夜会に招待されている」
「行っても、よろしいのですか……?」
「ああ。だが短時間だけだ」

 譲歩(じょうほ)してくれたことがうれしくて、リーゼロッテは輝く笑顔を向けた。すると再び口づけが深くなる。

 そのままふたり抱き合って、心地よい疲労の中、リーゼロッテは深い眠りについたのだった。

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