嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「別に困ってないわ」
「まぁまぁ、そう言うなって。お嬢さんみたいな人間のひとり歩きは危険ってもんだ」
「迷子なら家まで送ってやるよ。何、父親からたんまり謝礼をもらうから遠慮はいらねぇ」
「大きなお世話よ、そこを通して!」
「もしかしてこいつ、家出してきたんじゃねぇのか?」
顔を見合わせた男たちがにやにやと笑った。
「そいつは好都合だ。行くとこないんだろう? オレたちに任せりゃいいとこ連れて行ってやるぜ」
「ひひ、こんな上玉、高く売れそうだ」
「馬鹿野郎、バラしてどうすんだ! お嬢さん、なんも怖いことねぇから安心してついてきな」
手首をつかまれ無理やり連れていかれそうになる。不穏な空気を察知して、道行く者は全員そそくさと通り過ぎていった。
「離して!」
「いっ! このアマっ」
不躾な腕に噛みついて、ひるんだ隙に勢いよく駆け出した。
「おい、あっちだ!」
執拗に追ってくる男たちを振り切るために、やみくもに住宅街の裏路地を走る。窓からのぞいていた住人は、関わりたくないとばかりにこぞって戸を締め切った。
袋小路に来てしまい、ルチアは息も絶え絶えに身を縮みこまらせた。ごろつきどもの怒鳴り声は、少しずつこちらに近づいてくる。
(一体どうしたらいいの……!)
もう走るのも限界だ。逃げ道を失って、絶望のあまり何も考えが浮かばない。
「そこのあんた、こっち来な! ほら、早くっ」
近くの民家の扉から、若い女に手招きをされる。考えるよりも早く、ルチアはそこへと掛け込んだ。
入るなり素早く扉が閉められる。女の横に大男が立っていて、ルチアは一瞬怯えた顔をした。
「大丈夫、心配いらないから。お前さん、あとは頼んだよ」
「おう、任せとけ」
女に手を引かれ、部屋の奥へと連れていかれる。その瞬間、扉が乱暴に連打された。
「おい、ここに身なりのいい若い女が来ただろう」
「はぁ? 知らねぇな」
「隠すとためにならねぇぞ! 痛い目に合いたくなかったらさっさと女を出せ!」
怒声が響き、ルチアはびくりと体を震わせた。そんなルチアの手を、女がやさしく握ってくる。女は妊娠しているのか、よく見るとお腹が少し膨らんでいた。このままでは関係のない若い夫婦に、迷惑をかけることになってしまう。
「まぁまぁ、そう言うなって。お嬢さんみたいな人間のひとり歩きは危険ってもんだ」
「迷子なら家まで送ってやるよ。何、父親からたんまり謝礼をもらうから遠慮はいらねぇ」
「大きなお世話よ、そこを通して!」
「もしかしてこいつ、家出してきたんじゃねぇのか?」
顔を見合わせた男たちがにやにやと笑った。
「そいつは好都合だ。行くとこないんだろう? オレたちに任せりゃいいとこ連れて行ってやるぜ」
「ひひ、こんな上玉、高く売れそうだ」
「馬鹿野郎、バラしてどうすんだ! お嬢さん、なんも怖いことねぇから安心してついてきな」
手首をつかまれ無理やり連れていかれそうになる。不穏な空気を察知して、道行く者は全員そそくさと通り過ぎていった。
「離して!」
「いっ! このアマっ」
不躾な腕に噛みついて、ひるんだ隙に勢いよく駆け出した。
「おい、あっちだ!」
執拗に追ってくる男たちを振り切るために、やみくもに住宅街の裏路地を走る。窓からのぞいていた住人は、関わりたくないとばかりにこぞって戸を締め切った。
袋小路に来てしまい、ルチアは息も絶え絶えに身を縮みこまらせた。ごろつきどもの怒鳴り声は、少しずつこちらに近づいてくる。
(一体どうしたらいいの……!)
もう走るのも限界だ。逃げ道を失って、絶望のあまり何も考えが浮かばない。
「そこのあんた、こっち来な! ほら、早くっ」
近くの民家の扉から、若い女に手招きをされる。考えるよりも早く、ルチアはそこへと掛け込んだ。
入るなり素早く扉が閉められる。女の横に大男が立っていて、ルチアは一瞬怯えた顔をした。
「大丈夫、心配いらないから。お前さん、あとは頼んだよ」
「おう、任せとけ」
女に手を引かれ、部屋の奥へと連れていかれる。その瞬間、扉が乱暴に連打された。
「おい、ここに身なりのいい若い女が来ただろう」
「はぁ? 知らねぇな」
「隠すとためにならねぇぞ! 痛い目に合いたくなかったらさっさと女を出せ!」
怒声が響き、ルチアはびくりと体を震わせた。そんなルチアの手を、女がやさしく握ってくる。女は妊娠しているのか、よく見るとお腹が少し膨らんでいた。このままでは関係のない若い夫婦に、迷惑をかけることになってしまう。