嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 逃げるルチアを暖炉の前で捕まえる。膝裏を(すく)い上げると、有無を言わさず毛足の長い絨毯(じゅうたん)の上に足を延ばして座らせた。

「傷を見るだけだから」
「あ、ちょっと!」

 痛がっていた足を掴み、膝下までスカートをまくり上げる。(すね)にできた痛々しい擦り傷を見つけ、カイは懐からハンカチを取り出した。

「とりあえず応急処置しとくけど、あとできちんと診てもらおう」
「そんな大げさにしなくっても……」
「悪いと思ってるなら、ひとの言うことちゃんと聞こうか?」

 語調を強め、ひとの悪い笑みを向ける。言葉に詰まったルチアは、諦めたのかおとなしく足を預けてきた。

「ところでさ。ルチアはどうやってこの家に入ったの?」

 丹念に汚れを(ぬぐ)いながら問いかける。できるだけ痛くないように処置はしているが、会話していた方がルチアも気が紛れるだろう。

「それは、その……探してたら壁の下に通路があったから……」
「リープリング用のあれを通ったの? はは、よくおしりがつっかえなかったね」
「そっ、そんなに大きくないもの!」

 ハンカチを巻き付けたところで、頬を膨らませたルチアが手を振り上げてきた。届かないようにと、笑いながら掴んだ足を持ち上げる。バランスを崩したルチアは、そのまま見事に後ろに倒れ込んだ。

「きゃあっ」

 下着が見えそうな勢いに、やりすぎたと咄嗟(とっさ)に手を離す。スカートがずり下がった内ももに、丸い文様(もんよう)のようなあざが見えた。
 その瞬間、カイのすべての思考が停止する。

 体を起こし、真っ赤になったルチアが素早く足を隠した。スカートの(すそ)を握りしめ、羞恥で潤んだ瞳を向けてくる。
 表情なく、カイは再びルチアの足を掴んだ。無遠慮にスカートをまくり上げ、もう一度あざを確かめる。

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