嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 誰にも話すなとは言われたが、唯一ベッティだけが自分たちのことを知っている。何かあった時は彼女を頼るよう、カイにそう言われていた。

「あの方は王城騎士としていつも忙しくされてますからぁ。ルチア様は養生がてら気長に待たれるとよろしいですよぅ」

 気遣うように言われるも、ルチアは素直には頷けなかった。日中はカイとの時間を思い出し胸を高鳴らせる一方で、寝静まった深夜などは身も心もさびしくて、切なさが(つの)るばかりだった。

「あ、明日はエマニュエル様が来られるのでぇ、ご承知おきくださいましねぇ」
「エマニュエル様が?」

 その名を聞いて、ルチアは身を固くした。彼女には、カイと親しくしないよう苦言を呈されたばかりだ。

「リーゼロッテ様がルチア様のことをいたくご心配されてるとかでぇ、代わりにエマニュエル様がお見舞いの品を届けに来てくださるそうですぅ」
「分かったわ」

 勘のよさそうなエマニュエルを思い浮かべる。カイとの約束を守るためにも、彼女には特に注意しなければ。

 ベッティが出て行って、何をするでもなく再びルチアはぼんやりと虚空を見つめた。口元から、知らず切なげな息が漏れる。


「カイ……早く、会いに来て」

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