嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「あっ、やだカイ、指まだ冷たい」
「うん、だからルチアであっためさせて」

 髪の奥に差し込まれた手が、ルチアの頭を引き寄せた。そのまま唇を塞がれて、甘い口づけの中、抗議の言葉はうやむやに溶かされていく。
 離れてしまった唇に、ルチアはねだるようにカイの首筋に手を掛けた。自ら顔を寄せ、積極的に口づけを求めていく。

「まだ冷たい?」
「ううん、も、だいじょうぶ」

 夢にまで見たカイがいる。口づけだけでは物足りなくなって、ルチアはどんどん大胆になっていった。

「カイ、もっとして?」

 ねだるようにカイを見上げた。一瞬目を丸くしたカイは、ふっといたずらな笑みを()く。

「ほんと、ルチアはいやらしい()だね」
「だって……」
「はは、ルチアはほんとに悪い()だ。でも明日はフーゲンベルク家に移動でしょ? 今夜は無茶なことできないよ」
「でも」
「大丈夫。ちゃんと気持ち良くはしてあげるから。ね?」

 頷いてルチアはおとなしく身を預けた。
 ふと動きを止めたカイが顔を覗き込んでくる。

「ねぇ、ルチア。もう一度言うけど、オレとふたりで会ってるって誰にも言っちゃ駄目だからね?」
「どうしてもだめなの?」
「駄目だよ。でないとこんなふうに二度としてあげられないよ」
「そんなのいや!」

 いやいやと首を振って、ルチアはカイの胸に顔をうずめた。
 そのままふたりはひとつになって、明け方には抗えない重いまどろみへと沈んでいった。

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