嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「それくらいにして差し上げましょう? リーゼロッテ様が恥ずかしがっておいでだわ」
隣にいるカミラが助け舟を出してくれたが、周囲の生温かい視線は継続中だ。こんな初心な態度を示しては、公爵夫人として舐められてしまうかもしれない。涙目になったところで、遅れて輪に加わったエマニュエルと目が合った。
大丈夫だというふうに頷かれ、少しだけ自信を取り戻す。新婚の熱々加減をからかうことは、ご夫人たちのたのしみのひとつであるらしい。そう言われたことを思い出し、みなの満足を誘えたのなら良しとしようと、リーゼロッテは開き直ることにした。
そんな時カミラが、リーゼロッテ越しにレルナー夫人に話しかけた。
「時にゾフィー様、今宵はいつにも増して輝いておられますわね。その透き通ったお肌……なんて羨ましいのかしら」
「カミラ様はお上手ね。でもそうなのよ。最近はエデラー商会の化粧水を使っているせいか、肌の調子が本当によくって」
「まぁ、やっぱり。あそこの品は人気が高くて、なかなか手に入らないんですもの。ゾフィー様のお立場ともなると、自然と良い品が集まってくるんですのね。さすがですわ」
エデラー印の化粧水は今、貴族の間で飛ぶように売れている。ダーミッシュ伯爵家は長い間エデラー家の後ろ盾を続けてきたので、エデラー商会の品はすべてダーミッシュ領の特産とも言える。そんなわけで、母クリスタは親しい夫人に化粧水一式をよく贈っていた。ルカの婚約を機に、レルナー夫人にも融通を利かせているのだろう。
そんなことを思いながら、話題が変わったことにほっとした。内心息をついていると、カミラがリーゼロッテに意味ありげな視線を向けてくる。
「リーゼロッテ様ももちろんお使いになられてますのよね?」
「ええ、わたくしも愛用しておりますわ」
ダーミッシュ家の娘として当たり前のように使っていたが、コスメ類はすべてエラ任せだ。深く考えずに頷いた。
「それはそうと、ツェツィーリア様はわたくしの姪ですし、リーゼロッテ様とわたくしは最早、親戚も同然ですわよね?」
「ええ、弟とツェツィーリア様が婚約した今、わたくしもそう思います」
先ほど助けてくれたこともあり、リーゼロッテはカミラへ心からの笑顔を向けた。しかしカミラはなおも伺うような表情を見せてくる。
「でしたらダーミッシュ伯爵家ともども、これからも懇意にしていただけたらうれしいですわ」
「もちろん、そうさせていただきますわ」
わざわざ実家であるダーミッシュ家の名を出されたことに、リーゼロッテは若干の違和感を覚えた。フーゲンベルク公爵夫人としてではなく、なぜダーミッシュ家込みなのか。
隣にいるカミラが助け舟を出してくれたが、周囲の生温かい視線は継続中だ。こんな初心な態度を示しては、公爵夫人として舐められてしまうかもしれない。涙目になったところで、遅れて輪に加わったエマニュエルと目が合った。
大丈夫だというふうに頷かれ、少しだけ自信を取り戻す。新婚の熱々加減をからかうことは、ご夫人たちのたのしみのひとつであるらしい。そう言われたことを思い出し、みなの満足を誘えたのなら良しとしようと、リーゼロッテは開き直ることにした。
そんな時カミラが、リーゼロッテ越しにレルナー夫人に話しかけた。
「時にゾフィー様、今宵はいつにも増して輝いておられますわね。その透き通ったお肌……なんて羨ましいのかしら」
「カミラ様はお上手ね。でもそうなのよ。最近はエデラー商会の化粧水を使っているせいか、肌の調子が本当によくって」
「まぁ、やっぱり。あそこの品は人気が高くて、なかなか手に入らないんですもの。ゾフィー様のお立場ともなると、自然と良い品が集まってくるんですのね。さすがですわ」
エデラー印の化粧水は今、貴族の間で飛ぶように売れている。ダーミッシュ伯爵家は長い間エデラー家の後ろ盾を続けてきたので、エデラー商会の品はすべてダーミッシュ領の特産とも言える。そんなわけで、母クリスタは親しい夫人に化粧水一式をよく贈っていた。ルカの婚約を機に、レルナー夫人にも融通を利かせているのだろう。
そんなことを思いながら、話題が変わったことにほっとした。内心息をついていると、カミラがリーゼロッテに意味ありげな視線を向けてくる。
「リーゼロッテ様ももちろんお使いになられてますのよね?」
「ええ、わたくしも愛用しておりますわ」
ダーミッシュ家の娘として当たり前のように使っていたが、コスメ類はすべてエラ任せだ。深く考えずに頷いた。
「それはそうと、ツェツィーリア様はわたくしの姪ですし、リーゼロッテ様とわたくしは最早、親戚も同然ですわよね?」
「ええ、弟とツェツィーリア様が婚約した今、わたくしもそう思います」
先ほど助けてくれたこともあり、リーゼロッテはカミラへ心からの笑顔を向けた。しかしカミラはなおも伺うような表情を見せてくる。
「でしたらダーミッシュ伯爵家ともども、これからも懇意にしていただけたらうれしいですわ」
「もちろん、そうさせていただきますわ」
わざわざ実家であるダーミッシュ家の名を出されたことに、リーゼロッテは若干の違和感を覚えた。フーゲンベルク公爵夫人としてではなく、なぜダーミッシュ家込みなのか。