嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
レルナー公爵とダンスを終えた直後、ジークヴァルトがすぐに来てくれた。ほっとするのも束の間、公爵夫妻に暇の挨拶をして、待たせてある馬車へと向かう。
「あの、ヴァルト様」
「なんだ?」
「レルナー公爵様と踊ったこと、怒っていらっしゃるのですか?」
うまく隠しているつもりだろうが、先ほどから不機嫌な様子が伝わってくる。
「怒ってなどいない」
「でしたらどうしてそんなに不機嫌にしていらっしゃるのですか?」
「それは……お前の気のせいだ」
ふいと顔をそらされ、リーゼロッテは無理やりに歩を止めた。振り向いたジークヴァルトに見下ろされる。夜会に出れば、これからも避けられない誘いはあるだろう。そのたびにこんな雰囲気になるのは嫌だった。
「……いい、怒っていない。今夜、お前はよくやった」
そっと頬をなでられて、リーゼロッテは瞳を潤ませた。ジークヴァルトのためにと思ったことが、裏目に出ては本末転倒だ。及第点をもらえたのなら、頑張った甲斐もある。
「ではダンスを申し込まれたとき、これからも応じてよろしいですか?」
「それは駄目だ」
きっぱりと拒否されて、リーゼロッテは困り顔になった。あまりうるさく言うと、今後夜会に連れて行ってもらえなくなるだろうか。
「夜会につき、ひとりまでだ。オレがいいと言った相手以外、残りはすべて断りを入れろ」
「ですが相手によっては失礼にあたるのでは……」
「問題ない、理由はオレの指示と言えばいい」
そっけなく言って、ジークヴァルトは前触れなくリーゼロッテを抱き上げた。
「ヴァルト様……!」
「馬車までだ」
もう目の前にある馬車には、ジークヴァルトの数歩でたどり着いた。相変わらずの過保護ぶりに、呆れるよりほかはない。
乗り込んだ馬車で、当たり前のように膝に乗せられる。おとなしく身を預けて、リーゼロッテは小さく息をついた。
レルナー公爵とダンスを終えた直後、ジークヴァルトがすぐに来てくれた。ほっとするのも束の間、公爵夫妻に暇の挨拶をして、待たせてある馬車へと向かう。
「あの、ヴァルト様」
「なんだ?」
「レルナー公爵様と踊ったこと、怒っていらっしゃるのですか?」
うまく隠しているつもりだろうが、先ほどから不機嫌な様子が伝わってくる。
「怒ってなどいない」
「でしたらどうしてそんなに不機嫌にしていらっしゃるのですか?」
「それは……お前の気のせいだ」
ふいと顔をそらされ、リーゼロッテは無理やりに歩を止めた。振り向いたジークヴァルトに見下ろされる。夜会に出れば、これからも避けられない誘いはあるだろう。そのたびにこんな雰囲気になるのは嫌だった。
「……いい、怒っていない。今夜、お前はよくやった」
そっと頬をなでられて、リーゼロッテは瞳を潤ませた。ジークヴァルトのためにと思ったことが、裏目に出ては本末転倒だ。及第点をもらえたのなら、頑張った甲斐もある。
「ではダンスを申し込まれたとき、これからも応じてよろしいですか?」
「それは駄目だ」
きっぱりと拒否されて、リーゼロッテは困り顔になった。あまりうるさく言うと、今後夜会に連れて行ってもらえなくなるだろうか。
「夜会につき、ひとりまでだ。オレがいいと言った相手以外、残りはすべて断りを入れろ」
「ですが相手によっては失礼にあたるのでは……」
「問題ない、理由はオレの指示と言えばいい」
そっけなく言って、ジークヴァルトは前触れなくリーゼロッテを抱き上げた。
「ヴァルト様……!」
「馬車までだ」
もう目の前にある馬車には、ジークヴァルトの数歩でたどり着いた。相変わらずの過保護ぶりに、呆れるよりほかはない。
乗り込んだ馬車で、当たり前のように膝に乗せられる。おとなしく身を預けて、リーゼロッテは小さく息をついた。