嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
第5話 公爵夫人の矜持
「いたっ」
髪の毛が引っ張られ、起き抜けに頭皮に痛みが走る。踏みつけた髪を引き抜きながら、リーゼロッテは寝台の上でひとり小首をかしげた。
(また解けてる……夕べもちゃんと結んだはずなのに)
長い髪を踏んづけてしまわないようにと、三つ編みを作って眠るのが子供のころからの習慣だ。それなのにここ最近、起きるとそれが解けてしまっている。髪が乱れるようなことは何ひとつしていない。今は月のものが来ているため、ジークヴァルトとは普通に眠っているだけだった。
「わたし寝相が悪くなったのかしら……?」
つぶやきながら寝台を降りる。眠っている間は基本、腕枕をしてもらっている。だが寝技のごとくホールドされるため、寝返りを打ちたくても打てないことも多かった。ジークヴァルトの腕の中、眠りながら抜け出そうともがいているのかもしれない。
(ヴァルト様を蹴飛ばしたりしてないといいけど……)
今夜あたりに聞いてみようか。そろそろ月のものも終わる頃合いなので、このあとしばらくまぐあい三昧の日々が続くだろう。そうなると会話どころではなくなってしまう。
お預けが明けたときのジークヴァルトは特別ひどい。翌朝遅くまでゆっくりできるようにと、解禁の夜に合わせて執務をとことん片付けている徹底ぶりだ。長時間におよぶ夫婦の営みに、体力尽きるまでリーゼロッテは翻弄されるしかなかった。
「おはよう、エラ」
「おはようございます、奥様。ゆっくりお休みになられましたか?」
「ええ、明日まではきっとぐっすり眠れるわ」
リーゼロッテの返答に、エラが困ったような笑顔を返す。夫婦として過ごすうちに、ジークヴァルトの行動パターンはだいたいのところ分かってきた。それはエラにしても同じことで、言わずともこの気持ちを汲み取ってくれている。
「マテアスに頼んで、旦那様に進言してもらいましょうか?」
「いいの、世継ぎを作るのは公爵夫人としての務めだもの。わたくし頑張るわ。ただ……」
髪の毛が引っ張られ、起き抜けに頭皮に痛みが走る。踏みつけた髪を引き抜きながら、リーゼロッテは寝台の上でひとり小首をかしげた。
(また解けてる……夕べもちゃんと結んだはずなのに)
長い髪を踏んづけてしまわないようにと、三つ編みを作って眠るのが子供のころからの習慣だ。それなのにここ最近、起きるとそれが解けてしまっている。髪が乱れるようなことは何ひとつしていない。今は月のものが来ているため、ジークヴァルトとは普通に眠っているだけだった。
「わたし寝相が悪くなったのかしら……?」
つぶやきながら寝台を降りる。眠っている間は基本、腕枕をしてもらっている。だが寝技のごとくホールドされるため、寝返りを打ちたくても打てないことも多かった。ジークヴァルトの腕の中、眠りながら抜け出そうともがいているのかもしれない。
(ヴァルト様を蹴飛ばしたりしてないといいけど……)
今夜あたりに聞いてみようか。そろそろ月のものも終わる頃合いなので、このあとしばらくまぐあい三昧の日々が続くだろう。そうなると会話どころではなくなってしまう。
お預けが明けたときのジークヴァルトは特別ひどい。翌朝遅くまでゆっくりできるようにと、解禁の夜に合わせて執務をとことん片付けている徹底ぶりだ。長時間におよぶ夫婦の営みに、体力尽きるまでリーゼロッテは翻弄されるしかなかった。
「おはよう、エラ」
「おはようございます、奥様。ゆっくりお休みになられましたか?」
「ええ、明日まではきっとぐっすり眠れるわ」
リーゼロッテの返答に、エラが困ったような笑顔を返す。夫婦として過ごすうちに、ジークヴァルトの行動パターンはだいたいのところ分かってきた。それはエラにしても同じことで、言わずともこの気持ちを汲み取ってくれている。
「マテアスに頼んで、旦那様に進言してもらいましょうか?」
「いいの、世継ぎを作るのは公爵夫人としての務めだもの。わたくし頑張るわ。ただ……」