嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 コトが始まると、ジークヴァルトは瞬息(しゅんそく)で服を脱がしてくる。今まではそれで事なきを得ていたのに、とうとうこんなはしたない格好していることがバレてしまった。

「や、ヴァルト様……明かりを……」

 このままではろくに会話もないまま、夜の時間に突入しそうだ。
 甘い口づけが落とされる中、涙目で訴える。すでにちっぱいを知られているのは分かっているが、やはり恥ずかしくて見られたくはないのが乙女心というものだ。

「昨日も一昨日もその前も暗くした。今日はいいだろう?」
「だって、わたくし恥ずかしぃ……」
「オレは何も恥ずかしくない」
「そんな……っぁん!」

 耳たぶにジークヴァルトが力を流しこんできた。ピアスとなった神事の守り石が、揺らめきながら熱を持つ。

「それ、ゃ、熱いからぁ……」

 耳元でふっと笑われて、唇が首筋に降りてくる。やさしく(ついば)まれ、あんっ、とか、やんっ、とか、ひゃっ、とか、出したくもない声が漏れてしまう。
 悔しくて、ジークヴァルトの耳へと手を伸ばす。仕返しのように緑の力を石に注いだ。なぜか自分の耳まで熱くなり、ぎゅっと目をつむると今度は胸元に熱が集まった。

 ジークヴァルトが胸の中心のあざに唇を寄せている。同時に青の波動を注ぎ込まれて、胸の奥、一気に熱が広がった。

「ふぁっ……ソレも駄目ぇ」

 青の力が全身を駆け巡っていく。内側からジークヴァルトの指でなぞられているような、そんなおかしな感覚に陥った。
 気持ちよくて気持ちよくて、上がった呼吸にあまい吐息が混じっていく。
 くったりとなったリーゼロッテを見下ろしながら、ジークヴァルトが感心したような、呆れたような、そんな深いため息をついた。

「お前、可愛いな……どうしてそんなに可愛いんだ?」
「し、知りません、そんなことっ」

 頬を膨らませたまま顔をそむけた。身をよじって背を向けると、後ろから腕が回されてくる。
 耳裏にジークヴァルトの唇が触れ、くすぐったさに振り返る。するとすかさず唇を重ねられた。
 首が痛くなって口づけから逃れると仰向けにひっくり返され、再び甘い口づけが降ってくる。

 こうなったらもうジークヴァルトの思うがままだ。夫婦の長い夜が始まったが最後、リーゼロッテはなす術なく翻弄されるしかない。
 恥ずかしがるリーゼロッテの反応をじっくりと楽しみながら、ジークヴァルトはあの手この手で触れてくる。

 そうこうしているうちに羞恥も溶かされて、訳が分からなくなった明け方に、リーゼロッテは気絶寸前でようやく眠りに落ちたのだった。

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