嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
招待客が揃ったとの知らせを受けて、リーゼロッテはサロンへと向かった。客人を待たせるのもどうかと思ったが、もったいぶった振る舞いも公爵家の女主人として当然のことらしい。
今日招いたのは未婚の令嬢ばかりだ。侯爵令嬢のヤスミンをはじめ、伯爵令嬢イザベラに子爵令嬢のクラーラとルチア、それに公爵令嬢のツェツィーリアが加わった。
リーゼロッテが令嬢時代に催した茶会とほぼ同じメンバーだが、貴族籍を抜けたエラの代わりに貴族の養子となったルチアを招待した形だ。
(ツェツィーリア様がイザベラ様と喧嘩しないといいけれど……)
ふたりは以前のお茶会で一触即発のバトルを繰り広げた経緯がある。あの時はうまく収めることができずに、ちょっとした騒ぎになってしまった。今回もリーゼロッテの女主人としての手腕が問われるところだ。
社交の先輩として、エマニュエルにこっそり茶会の様子を見守ってもらっている。あとで改善点を教えてもらうためだ。今日の茶会は実地訓練の位置づけだった。次回はご夫人方を招いて、本格的な茶会を開くことになっている。
リーゼロッテが姿を現すと、みなが一斉に礼を取った。リーゼロッテはこの場で誰よりも地位が高い。公爵夫人としていちばんに敬われるべき立場となった。
「リーゼロッテ様、本日はお招きありがとうございます」
「せっかくの招待ですもの。来て差し上げましたわ」
「フフフーゲンベルク公爵夫人様、本日はおまおまお招き頂きましてまことにありがとうございましゅっ」
「わたくしまでお招きいただいて光栄です……」
「今日は本当にたのしみにしていたのよ、リーゼロッテお姉様!」
次々に挨拶をされ、余裕の笑顔を返す。
「みな様、お顔を上げて。今日は気軽なお茶会をと思っておりますの。それにクラーラ様、今まで通りリーゼロッテとお呼びになってよろしくてよ」
和やかな雰囲気で茶会を進めたい。見たところ、リーゼロッテ待ちの間は会話も弾んでいなかったようだ。
イザベラはヤスミン以外の者をガン無視しているし、ツェツィーリアはそんなイザベラに敵意のまなざしを向けている。おどおどと目を泳がせているクラーラの横で、ルチアは貝のように黙りこくったままだ。ヤスミンだけがその様子を面白そうに観察している。
(前途多難そうね……まずはヤスミン様に話を振って話題を広げようかしら)
話しかける順番にも気を遣う。イザベラはマウンティング令嬢なので、ことさら注意が必要だった。彼女の繰り出す暴言は、破壊力満点だ。まだ子どものツェツィーリアも空気を読むことをしないので、ふたりがエキサイトしないよう上手に誘導しなくては。
そんなことを考えているうちに、ヤスミンが先に口を開いてくれた。
招待客が揃ったとの知らせを受けて、リーゼロッテはサロンへと向かった。客人を待たせるのもどうかと思ったが、もったいぶった振る舞いも公爵家の女主人として当然のことらしい。
今日招いたのは未婚の令嬢ばかりだ。侯爵令嬢のヤスミンをはじめ、伯爵令嬢イザベラに子爵令嬢のクラーラとルチア、それに公爵令嬢のツェツィーリアが加わった。
リーゼロッテが令嬢時代に催した茶会とほぼ同じメンバーだが、貴族籍を抜けたエラの代わりに貴族の養子となったルチアを招待した形だ。
(ツェツィーリア様がイザベラ様と喧嘩しないといいけれど……)
ふたりは以前のお茶会で一触即発のバトルを繰り広げた経緯がある。あの時はうまく収めることができずに、ちょっとした騒ぎになってしまった。今回もリーゼロッテの女主人としての手腕が問われるところだ。
社交の先輩として、エマニュエルにこっそり茶会の様子を見守ってもらっている。あとで改善点を教えてもらうためだ。今日の茶会は実地訓練の位置づけだった。次回はご夫人方を招いて、本格的な茶会を開くことになっている。
リーゼロッテが姿を現すと、みなが一斉に礼を取った。リーゼロッテはこの場で誰よりも地位が高い。公爵夫人としていちばんに敬われるべき立場となった。
「リーゼロッテ様、本日はお招きありがとうございます」
「せっかくの招待ですもの。来て差し上げましたわ」
「フフフーゲンベルク公爵夫人様、本日はおまおまお招き頂きましてまことにありがとうございましゅっ」
「わたくしまでお招きいただいて光栄です……」
「今日は本当にたのしみにしていたのよ、リーゼロッテお姉様!」
次々に挨拶をされ、余裕の笑顔を返す。
「みな様、お顔を上げて。今日は気軽なお茶会をと思っておりますの。それにクラーラ様、今まで通りリーゼロッテとお呼びになってよろしくてよ」
和やかな雰囲気で茶会を進めたい。見たところ、リーゼロッテ待ちの間は会話も弾んでいなかったようだ。
イザベラはヤスミン以外の者をガン無視しているし、ツェツィーリアはそんなイザベラに敵意のまなざしを向けている。おどおどと目を泳がせているクラーラの横で、ルチアは貝のように黙りこくったままだ。ヤスミンだけがその様子を面白そうに観察している。
(前途多難そうね……まずはヤスミン様に話を振って話題を広げようかしら)
話しかける順番にも気を遣う。イザベラはマウンティング令嬢なので、ことさら注意が必要だった。彼女の繰り出す暴言は、破壊力満点だ。まだ子どものツェツィーリアも空気を読むことをしないので、ふたりがエキサイトしないよう上手に誘導しなくては。
そんなことを考えているうちに、ヤスミンが先に口を開いてくれた。