嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
市井で育ったものの、ルチアの令嬢としての立ち居振る舞いは完璧だ。口数は少ないが、この一年で貴族としてのしゃべり方もすっかり板についたようだ。
「ルチア様のことはわたくしも気にかけて差し上げてよ? お父様に目を配るよう頼まれましたから」
「ブラル宰相様がですか?」
「ええ、お父様はお心が広いの。あなたも感謝することね」
イザベラは父親に言われて仕方なくな様子だが、ルチアの出自を宰相は承知しているのだろう。ルチアは今期デビューする令嬢の中でも、いちばんの話題になるのは避けられないはずだ。何しろ彼女の鮮やかな赤毛は、王族の血筋を思わせる。
「ルチア様はブルーメ家の養子なのでしょう? 本当のお父様はどなたなの?」
「父は……ブルーメ家の遠縁です」
「何それ、曖昧ね。まぁ、田舎貴族なんてそんなものなのかしら」
「ブルーメ子爵家はリーゼロッテ様のお父様の実家です」
むっとしたようにルチアが言い返した。その態度にイザベラが半眼となる。
「リーゼロッテ様のご実家はダーミッシュ伯爵家でしょう。いい加減なこと言わないで」
「いえ、実父は確かにブルーメ家の出ですわ。わたくしもダーミッシュ家には養子に入りましたから。ルチア様は間違っておりません」
やんわりと間に入る。これ以上こじらせては、本当に収拾がつかなくなりそうだ。
「そういえばリーゼロッテ様は元々ラウエンシュタイン公爵家の方でしたわね。随分とややこしいですこと」
「ええ、本当に」
そこのところはリーゼロッテも頷くしかない。実父のイグナーツに一度会えたものの、なぜ自分が養子に出されたのかは結局聞けず仕舞いだった。
「リーゼロッテ」
突然やってきたジークヴァルトに、みなが一斉に立ち上がった。ツェツィーリアだけが遅れるように礼を取る。
「少し様子を見に来ただけだ。気にせず茶会を続けるといい」
そっけなく言ったジークヴァルトに、リーゼロッテはほっと笑みを返した。おかげでおかしな雰囲気が吹き飛んだ。うやむやになっただけだが、場がリセットできたことに心から安堵する。
「そういうことですから、みな様おかけになって」
全員を再び椅子に座らせたところで、リーゼロッテはいきなりジークヴァルトに抱えあげられた。
「じ、ジークヴァルト様……?」
リーゼロッテが座っていた椅子の上、当たり前のように膝に乗せられる。一同がポカンと見守る中、ジークヴァルトの指先がリーゼロッテの前髪を整え始めた。
(ななな何を考えているのヴァルト様はっ!?)
「ルチア様のことはわたくしも気にかけて差し上げてよ? お父様に目を配るよう頼まれましたから」
「ブラル宰相様がですか?」
「ええ、お父様はお心が広いの。あなたも感謝することね」
イザベラは父親に言われて仕方なくな様子だが、ルチアの出自を宰相は承知しているのだろう。ルチアは今期デビューする令嬢の中でも、いちばんの話題になるのは避けられないはずだ。何しろ彼女の鮮やかな赤毛は、王族の血筋を思わせる。
「ルチア様はブルーメ家の養子なのでしょう? 本当のお父様はどなたなの?」
「父は……ブルーメ家の遠縁です」
「何それ、曖昧ね。まぁ、田舎貴族なんてそんなものなのかしら」
「ブルーメ子爵家はリーゼロッテ様のお父様の実家です」
むっとしたようにルチアが言い返した。その態度にイザベラが半眼となる。
「リーゼロッテ様のご実家はダーミッシュ伯爵家でしょう。いい加減なこと言わないで」
「いえ、実父は確かにブルーメ家の出ですわ。わたくしもダーミッシュ家には養子に入りましたから。ルチア様は間違っておりません」
やんわりと間に入る。これ以上こじらせては、本当に収拾がつかなくなりそうだ。
「そういえばリーゼロッテ様は元々ラウエンシュタイン公爵家の方でしたわね。随分とややこしいですこと」
「ええ、本当に」
そこのところはリーゼロッテも頷くしかない。実父のイグナーツに一度会えたものの、なぜ自分が養子に出されたのかは結局聞けず仕舞いだった。
「リーゼロッテ」
突然やってきたジークヴァルトに、みなが一斉に立ち上がった。ツェツィーリアだけが遅れるように礼を取る。
「少し様子を見に来ただけだ。気にせず茶会を続けるといい」
そっけなく言ったジークヴァルトに、リーゼロッテはほっと笑みを返した。おかげでおかしな雰囲気が吹き飛んだ。うやむやになっただけだが、場がリセットできたことに心から安堵する。
「そういうことですから、みな様おかけになって」
全員を再び椅子に座らせたところで、リーゼロッテはいきなりジークヴァルトに抱えあげられた。
「じ、ジークヴァルト様……?」
リーゼロッテが座っていた椅子の上、当たり前のように膝に乗せられる。一同がポカンと見守る中、ジークヴァルトの指先がリーゼロッテの前髪を整え始めた。
(ななな何を考えているのヴァルト様はっ!?)