嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「そ、その、ジークヴァルト様を受け入れるまでが長くって……」
××(ピー)前の○○(ピー)が長い。そういうことですね?」
「う……有体(ありてい)にいえばそういうことだけど……わたくし、その、じ、焦らされるのが本当につらいの」
「なるほど。○○(ピー)で焦らされるのがおつらい、と」

 淡々と繰り返さないでほしい。涙目になりつつも、ここまできたら毒を食らわば皿までの境地だ。

「それと受け入れたあとも、それ以上にほんと長くって……」
〇×△◇(ピーピー)という感じでしょうか?」
「い、いいえ、そういったわけでは……」
「延々と××(ピー)が続く割に途中で△△(ピー)してる様子はみられない……ということは、公爵様は◇◇(ピー)でいらっしゃる。そういうことですね?」
「そ、そうなのかしら……」

 医学用語を使ってくれてはいるが、良い子には聞かせられない伏字連発の展開だ。明け透けな物言いに、二の句が告げられなくなる。だがもし本当にそれが原因だとしたら、医学の知識を持つ彼女なら何か打開策を授けてくれるかもしれない。

 体力が尽き果てるまでの濃厚な夜を減らせるのならと、(わら)にもすがる思いで女官の話に聞き入った。
 ほかにもいくつかヒアリングをされ、リーゼロッテはカウンセリングを受ける患者のごとく、素直に胸の内を吐露(とろ)していった。

「ご事情は把握(はあく)いたしました」
「なんとかできそう?」

 アンネマリーの声にリーゼロッテは我に返った。夫婦の夜の事情を知られてしまったことが、途端に恥ずかしくなってくる。

「そうですね……解決の糸口になりそうな書物にいくつか心当たりがございます」
「ではそれを見繕(みつくろ)ってフーゲンベルク家に届けてちょうだい」
「仰せのままに」

 (うやうや)しく女官が頭を下げたところで、ふと沈黙が訪れる。恥ずかしすぎていたたまれない。そんなリーゼロッテの胸中を知ってか知らずか、アンネマリーがやさしく微笑んだ。

「ねぇ、リーゼ。そう言えばわたくしが贈った夜着はどう?」

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