嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
神官長に強く言われ、ヨーゼフは不服そうに口をつぐんだ。その横で黙って立っていた盲目の神官レミュリオが、その美しい顔に薄く笑みを浮かべる。
「ヨーゼフ様のおっしゃることもよく分かります。長い歴史の中、夢見の巫女全員が純潔の乙女であったことは事実ですから。ですが今現在、この国で夢見の力を持つのはマルコさんだけなのもまた事実。王のご判断ももっともなことかと思われますね」
「レミュリオ、お前まで……。まったく聖女の力を持つ令嬢が、そのまま夢見の巫女を引き継いでくれたらよかったものを。よりにもよって託宣を前倒しして、聖女を穢す愚行を働くとは……!」
ジークヴァルトを睨みつけ、ヨーゼフは逆に返り討ちにあった。殺気立った視線に、慌てて神官長の後ろに隠れて身を縮みこまらせる。
「いずれにせよ神殿としましては、これ以上夢見の神事を先延ばしにはできません。我々はハインリヒ王のご決断に従います」
「心配はせずともいい。万が一、神事で不測の事態が起きたときは、王としてこのわたしが全責任を負おう」
「いえ、それには及びません。夢見の神事は我ら神殿の管轄。神事を執り行うからには、すべてこちらで責務を果たしましょう」
ハインリヒから目をそらさないまま、しかし、と神官長は続けた。
「いまだマルコを拘束している理由はどこにあるのでしょう。神事を行うにあたって、マルコに伝えねばならない作法もございます。即刻、彼をお戻しいただくことを神殿の長として要求いたします」
「それは許可できない」
ハインリヒが即答すると、さすがの神官長も眉をひそめた。
「神事が神殿の管轄と言うのならば、夢見の巫女の保護は王家の管轄だ。憂えずとも、かの神官は人道的に扱っている。必要に応じて面会を申し出るといい」
鷹揚に告げて玉座から立ち上がる。
「最も近い日付で神事を行えるよう取り計らうように。話は以上だ」
マントを翻し、有無を言わさぬ態度でハインリヒは玉座の間を出て行った。
いまだ不満そうに佇むヨーゼフにもうひと睨みしてから、ジークヴァルトもさっさとこの場をあとにした。
「ヨーゼフ様のおっしゃることもよく分かります。長い歴史の中、夢見の巫女全員が純潔の乙女であったことは事実ですから。ですが今現在、この国で夢見の力を持つのはマルコさんだけなのもまた事実。王のご判断ももっともなことかと思われますね」
「レミュリオ、お前まで……。まったく聖女の力を持つ令嬢が、そのまま夢見の巫女を引き継いでくれたらよかったものを。よりにもよって託宣を前倒しして、聖女を穢す愚行を働くとは……!」
ジークヴァルトを睨みつけ、ヨーゼフは逆に返り討ちにあった。殺気立った視線に、慌てて神官長の後ろに隠れて身を縮みこまらせる。
「いずれにせよ神殿としましては、これ以上夢見の神事を先延ばしにはできません。我々はハインリヒ王のご決断に従います」
「心配はせずともいい。万が一、神事で不測の事態が起きたときは、王としてこのわたしが全責任を負おう」
「いえ、それには及びません。夢見の神事は我ら神殿の管轄。神事を執り行うからには、すべてこちらで責務を果たしましょう」
ハインリヒから目をそらさないまま、しかし、と神官長は続けた。
「いまだマルコを拘束している理由はどこにあるのでしょう。神事を行うにあたって、マルコに伝えねばならない作法もございます。即刻、彼をお戻しいただくことを神殿の長として要求いたします」
「それは許可できない」
ハインリヒが即答すると、さすがの神官長も眉をひそめた。
「神事が神殿の管轄と言うのならば、夢見の巫女の保護は王家の管轄だ。憂えずとも、かの神官は人道的に扱っている。必要に応じて面会を申し出るといい」
鷹揚に告げて玉座から立ち上がる。
「最も近い日付で神事を行えるよう取り計らうように。話は以上だ」
マントを翻し、有無を言わさぬ態度でハインリヒは玉座の間を出て行った。
いまだ不満そうに佇むヨーゼフにもうひと睨みしてから、ジークヴァルトもさっさとこの場をあとにした。