嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
神殿の地に降り立ち、護衛を務める王城騎士の顔ぶれにリーゼロッテは目を見張った。
「アデライーデ様! 大公様まで……」
式典用の正装をした騎士たちがずらりと並ぶ。義姉となったアデライーデに大公バルバナス、エーミールにニコラウス、いちばん奥にはカイの姿が見えた。
「アンネマリー王妃直々に護衛の命を受けたのよ。リーゼロッテとジークヴァルトの婚儀だもの。任務でなくても駆けつけるに決まっているでしょう?」
指先に忠誠の口づけを落とされて、リーゼロッテの頬がぽっと染まった。
黒い眼帯に同色のサテンの刺繡が施されていて、それが光加減でなんとも美しく光沢を放つ。騎士服姿のアデライーデはまさに理想の男装の麗人だ。ここにいる騎士の誰よりも凛々しく思えて、つい目を奪われてしまう。
そんなリーゼロッテの腰をさらい、ジークヴァルトが自身の胸に引き寄せた。
「もう、ホント相変わらず心の狭い男ね。そんなんじゃ早々にリーゼロッテに愛想をつかされるわよ?」
呆れるアデライーデからふいと顔をそらすと、ジークヴァルトはバルバナスに向けて礼を取った。
「大公殿下、本日はわたしどものためにご足労いただき感謝いたします」
「礼ならアンネマリー王妃に言うんだな。まぁ、めでたい席だ。ふたりとも遠慮せず黙って祝われてろ」
「たまにはまともなこと言うじゃない。バルバナス様も随分と大人になったわね」
「あぁん? アデリー、お前オレに喧嘩売ってんのか?」
「なによ、出発前まであんなにぶつくさ言ってたくせに」
「あーもう、ふたりとも! こんなとこまで来て痴話喧嘩なんてみっともない」
「あんだと?」
「なんですって?」
慌てて止めに入ったニコラウスが、ぎりっとふたりに睨まれる。
「うわっ、めっちゃとばっちり! エーミール様もなんとか言ってくださいよぉ」
「知るか。自業自得だろう」
「そんなっ! オレ、孤立無援っすか!?」
「はは、ブラル殿は相変わらずたのしそうにやってるね」
「デルプフェルト様までっ」
涙目のニコラウスを無視して、カイはジークヴァルトとリーゼロッテに笑顔を向けた。
「主役のおふたりはこれから準備に入られるんでしょう? オレも末席ながら式に参加させていただきます。さぁ、早くしないと。ダーミッシュ伯爵たちも今か今かと待っていますよ」
カイのひと声で、急ぎ婚儀の支度に取り掛かった。
神殿の地に降り立ち、護衛を務める王城騎士の顔ぶれにリーゼロッテは目を見張った。
「アデライーデ様! 大公様まで……」
式典用の正装をした騎士たちがずらりと並ぶ。義姉となったアデライーデに大公バルバナス、エーミールにニコラウス、いちばん奥にはカイの姿が見えた。
「アンネマリー王妃直々に護衛の命を受けたのよ。リーゼロッテとジークヴァルトの婚儀だもの。任務でなくても駆けつけるに決まっているでしょう?」
指先に忠誠の口づけを落とされて、リーゼロッテの頬がぽっと染まった。
黒い眼帯に同色のサテンの刺繡が施されていて、それが光加減でなんとも美しく光沢を放つ。騎士服姿のアデライーデはまさに理想の男装の麗人だ。ここにいる騎士の誰よりも凛々しく思えて、つい目を奪われてしまう。
そんなリーゼロッテの腰をさらい、ジークヴァルトが自身の胸に引き寄せた。
「もう、ホント相変わらず心の狭い男ね。そんなんじゃ早々にリーゼロッテに愛想をつかされるわよ?」
呆れるアデライーデからふいと顔をそらすと、ジークヴァルトはバルバナスに向けて礼を取った。
「大公殿下、本日はわたしどものためにご足労いただき感謝いたします」
「礼ならアンネマリー王妃に言うんだな。まぁ、めでたい席だ。ふたりとも遠慮せず黙って祝われてろ」
「たまにはまともなこと言うじゃない。バルバナス様も随分と大人になったわね」
「あぁん? アデリー、お前オレに喧嘩売ってんのか?」
「なによ、出発前まであんなにぶつくさ言ってたくせに」
「あーもう、ふたりとも! こんなとこまで来て痴話喧嘩なんてみっともない」
「あんだと?」
「なんですって?」
慌てて止めに入ったニコラウスが、ぎりっとふたりに睨まれる。
「うわっ、めっちゃとばっちり! エーミール様もなんとか言ってくださいよぉ」
「知るか。自業自得だろう」
「そんなっ! オレ、孤立無援っすか!?」
「はは、ブラル殿は相変わらずたのしそうにやってるね」
「デルプフェルト様までっ」
涙目のニコラウスを無視して、カイはジークヴァルトとリーゼロッテに笑顔を向けた。
「主役のおふたりはこれから準備に入られるんでしょう? オレも末席ながら式に参加させていただきます。さぁ、早くしないと。ダーミッシュ伯爵たちも今か今かと待っていますよ」
カイのひと声で、急ぎ婚儀の支度に取り掛かった。