中島くんはなぜか私にキスをせがむ(番外編)
美桜にフラれて1ヶ月が経過していた…



俺は夢を見ていた…



高校の時の、懐かしい記憶…



親の都合で関西の高校に転校した俺は、ある1人の女の子に告白された



俺が唯一初めて告白された子だ



同じ弓道部の子で、一つ年下の後輩だった



高校三年生の時だ…



「雪平先輩、私先輩が好きだったんです。私と付き合ってください」



「ごめん…俺にはずっと忘れられない人がいるんだ。だからごめん。斉藤さんとは付き合えない」



俺の返事を聞いて斉藤さんは泣いている



「分かりました…ごめんなさい」



斉藤さんは泣きながらも気丈に振る舞い、去って行った…



それから数ヶ月経った卒業式…



先輩、思い出に第二ボタンください 



そう言って第二ボタンを貰いに来た斉藤さんは、去り際俺にこう言った…



「先輩…私先輩に会いに絶対に東京に行きます。私の事忘れないでください」



えっ⁈



俺が聞き返す間もなく、斉藤さんは俺に背を向けて去って行ってしまった



もう2年前の、懐かしい記憶だ



……



🎵ピピピピ 



アラームが鳴って、俺は目を覚ました



懐かしい夢見たな



まさか夢に懐かしの斉藤さんが出てくるとか…



美桜にフラれて、ショック過ぎて斎藤さんが夢に出てきちゃったのかな?



俺はそう思うと自分が滑稽に思えて、思わず苦笑してしまうのだった…



やばっ⁈講義に遅れる⁈



大学に行く時間にギリギリな事に気付いた俺は、ガチャっと鍵を閉めて、自宅のアパートを後にした…
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