過つは彼の性、許すは我の心 参


 母の事を言われてカッとするがスッと目を細めた惣倉影刀の、


「先輩、アンタのその狡さも、兄の危うさも、全部分かった上で傍に居るって決めている」


 その言葉に完全に動きを止めた。

ーーー分かっているわよ。

 あの子が馬鹿じゃない事ぐらい。


『私は、妃帥ちゃんが天條じゃなくても、きっと妃帥ちゃんの事を大好きになったよ』


 私の狡さを分かった上で馬鹿を演じてくれていた。


『妃帥ちゃん大好き!」』


 心を開かない私の傍に居続ける為に。


『神様になんて、ならないで』

『何も出来なくてもいい、綺麗じゃなくても、頭が良くなくても』


 私の事を分かった上でそう言ってくれる人が、この世に何人居るだろう。

 
『ーーーそのままの貴方が、私は、欲しい』


 獅帥の妹でない、私自身を見てくれるなんてーーー…。


「アンタは先輩に色んなモノ差し出させた」


 力が入らなくなる。


「アンタは何を差し出せる?」


ーーーこれが罰なのか。


 ボンヤリと見上げた先に居る漆黒の男は、神に罰を与えられない代わりに現れた存在なのかもしれない。

 何時迄も正直になれない私への。

 自分の思いに目を隠し続けた私に対する、罰。


「…お望みは?」


 強引に胸の内を切り裂かれた私には、もう抵抗する気力は無かった。
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