過つは彼の性、許すは我の心 参
ぴっぴっぴ…と言う機械音が聞こえる。
誰かが優しく頬に触れる感触に目を開ける。視界がぐらぐら揺れる。それでも室内が真っ暗で夜遅いのだけは分かる。
「…こ、」
此処は何処?
「先輩?」
「つ、」
惣倉君…。
闇の中で更に黒く染まる彼を見てーーー安堵した。
「くら、」
喉が渇いている上に、折角言葉が出ても酸素のマスクのせいで籠っちゃってこれじゃあ聞こえない。
色々気になる事があるのに。
怪我はないんだろうか。他の人達は。
「待って下さい。話せなくても、口パクで分かります」
そう言われて安心した私は、口パクで惣倉君や凌久君、あの場に居た人の安否を聞いた。
「取り敢えず此処は病院で、俺と土師先輩は無事です。先輩に付いていた他の護衛も怪我はしていても、命にも別状はないとの事でした」
良かった…。
ほっと胸を撫で下ろす。
「…油断してました。先輩が土師先輩と話していて、護衛もあれだけ居たら何も心配ないと思って傍を離れたんです。新手の奴か分からないけど、ちょっかい掛けられたから見に行って戻って来たら…って感じだったんです」
そっか…。
惣倉君は「本当にすみません」と謝るので、口パクで謝らないでと伝えた。
すると惣倉君は一瞬黙って、
「先輩ーーー惣倉喜影は殺しました」
驚くべき事を言った。