過つは彼の性、許すは我の心 参


 暗闇の中に溶けそうな、惣倉君の物悲しげな雰囲気。

 獅帥君達、凌久君、渚君達。

 もしかしてあのるり様やリタだって。

 小さな頃からそんな思いをして生きて来て、やりたくない事をやらされてきて…。

 私の周囲の人達は、命や人生、大事な誰かを盾にされて、他人に縛られて生きている。

 じゃあ殺しなんてしなくていい。

 結局言う事を聞いているんだから一緒だ。

 命令して来る奴等と戦え。

 口では何とでも言えるだろう。

 それこそ漫画や小説の中だったら、人を縛る昔の慣わしならぶっ壊す!と言って情に厚い主人公が助けに来てくれる。

 でも現実には居ないんだ。

 主人公も、仲間も居ない。

 天使や神様だって、居ないんだ。

 助けたい、力になりたい。

 気持ちだけでは他人を救えない。

 行かないで。

 思いのまま、以前の私ならそう言った筈なのに。

 言えない。

 獅帥君達に関わって来て嫌でも知る事になった不条理や理不尽。

 それを知った今の私は、無責任にそんな事を言えなかった。

 言ってどうする。

 言って此処に無理して留まった所で、惣倉君は家に追われて、下手したら私の存在が足枷になる。

 何の力も無い私には…。

 ギュッと目を瞑って、唇を噛む。


「いよいよ死んでも良いかなって思っていた頃ーーー事情が変わった」

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