過つは彼の性、許すは我の心 参
明るさを伴った声にえ?と見上げる。
あの寂しそうな顔は何処へやら、打って変わって楽しげに微笑む惣倉君にパチクリと瞼を動かす。
「先輩に会えたから」
淡く微笑む彼の笑顔に目が奪われる。
「初めて会った時、漫画の話したの覚えてますか?」
余りにも美しい微笑みに、ぼーっとしながら頷く。
「自分と似た様な境遇って、意外と想像の中ではあるんだなあと思っていたんです。そしたら先輩が泣き始めて」
うわ恥ずかしい!
今思えば、名前も知らない先輩が漫画の事を語りだしたと思ったら泣き始めて…って中々キモいし、何だコイツ状態じゃん。
穴があったら入りたいと切実に思っていれば、
「人がそこまで感動するものって何だろうなって。それを知ってからでも死ぬのは遅くないかって思ったんですよ。それで色々読んだり、先輩と物語の事を話すのが楽しい自分に気付いて」
心から楽しいと言う顔で笑う惣倉の顔に、まあ偶には私のお馬鹿も悪くないかと調子良く思う事にした。
「お前は頭が可笑しいサイコパスだから俺達の気持ちなんて分からないって兄に言われた事があるんですけど… 俺と先輩も、あの漫画の主人公とライバルと同じなんだなあって。生まれや育ちも違うけど、でも楽しい気持ちを、物語の世界を共有する事を出来るだけで充分じゃないかなって思えたんです」