過つは彼の性、許すは我の心 参
 

 殺されそうになっているのに。


「ふふっ…」

「ふはははっ…」


 日常が戻って来た気がして、楽しくて楽しくて、身体が傷だらけじゃなければお腹抱えて笑いたくなるほど。

 惣倉君は一頻り笑った後、


「はははっ…先輩、俺と約束」


 そう、私に言った。


「絶対に自分を曲げないで下さい」

「…」


 笑いの止まった私を見下ろしながら、ナイフとは逆の手で私の頬を撫でる。


「時には安全だと思える場所に逃げてもいい。戦えないと思えば誰かの力を借りて一緒に戦ってもいい。人との調和を重んじ、誰かの気持ちに寄り添う。それが先輩の強さです。先輩が先輩らしく有り続ければ、周囲も力を絶対に貸してくれる」


 今から殺す、私への手向けの言葉。

 だったらと私も口を開いた。


「ん?先輩からも約束ですか?…それって難しいんじゃ」


 ムッとしながら絶対!いいやそうなる!と言い切った。


「一途巨乳美人が突然現れて俺の事を好きなってくれる、か…」


 私が惣倉君にした約束。

 将来きっと惣倉君と一緒に歩める人が現れる…待って、きっとじゃなくて絶対!

ーーー惣倉君のこれから歩む人生は暗闇と血が満ちた世界。

 そんな修羅の道を行くと言う彼。

 なら、尚更だと思った。

 惣倉君は誰かと気持ちを共有する事が楽しいと言った。

< 270 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop