悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
「あら、なにか届いてる?」

 日中は仕事で不在なので、玄関脇に小さな宅配BOXを設置している。そこに荷物がひとつ届いていた。
 自分の部屋でひと息ついてから、あらためて荷物を確認してみる。
 差出人の名は【鷹井楓】
 日本のIT業界の雄、鷹井グループの御曹司。そして、志桜の婚約者でもある人。

「今年もちゃんと当日。妙なところで律儀な人よね」

 今日は志桜の二十五歳の誕生日だ。彼は毎年、誕生日にプレゼントを贈ってくれる。これだけ聞くと、誠実な男性に大事にされているように聞こえるだろうが……自分と彼の交流は、この誕生日の贈りものとそれに対する礼の手紙のみ。それ以外は、デートはおろか電話もメールもいっさいなし。そもそも、顔を合わせたのも結納の日の一度きりだった。

(お返しにと、私が彼の誕生日にプレゼントを贈るのも拒否されているし)

 つまり、自分たちは形式だけの愛も情もない関係ということだ。

(このプレゼントも秘書に丸投げ……かもね。そもそも、別に無理して贈ってくれなくても構わないのに)

 これだけは、なぜか欠かさずに届くのだ。おまけに、楓本人なのか彼の秘書なのかは知らないが……その趣味がまた一風変わっていて謎だった。
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