悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
「顔だけ差し替えたタイプの典型的な合成写真だ。画像編集ソフトを使ったか、それともAIによるディープフェイクか」
「それを証明する方法ってあるのでしょうか?」

 志桜はゴクリと喉を鳴らす。それができなければ自分は彼の隣にはいられない、そう思っているから。そのときふと、志桜の脳内に名案が浮かんだ。

「そうか! さっき楓さんが指摘してくれたホクロ、これを見せたら写真は私じゃない証拠になりますよね?」

 この方法なら明日にでも無実を証明できる。志桜は張りきったが、ギョッとした顔の楓に全力で止められてしまった。

「落ち着け。君が身体を見せる必要など、どこにもないから!」

 楓が言うには、合成写真である証拠を見つけるのはさほど難しくないそうだ。

「AIによる合成ならフェイク検出ツールがうちの会社にもある。画像編集ソフトの場合、よほど使い慣れた人間でないと写真そのものに不自然な点が残るから、そこから合成を立証できるよ。数週間もあれば十分だ」
「す、数週間……」

 こういう技術に無知な志桜は、下手したら数年単位で楓とは会えないかと覚悟していたのだ。なので、ドッと全身から力が抜けてしまった。

「だが、志桜の潔白を証明するだけじゃ意味がない。ゴールは犯人……彼女に自身の罪を認めさせることだ」
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