悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
 共犯がいるのかどうかは不明だが、主犯は間違いなく愛奈だろう。

「合成のもとになった写真を彼女は必ず持っているはず。その証拠をつかめれば、こちらの勝ちだ」

 楓は表情を引き締めて志桜を見る。

「例の写真のフェイクチェックは、すでに園村が動いている。できたらKAMURO社内にも協力者が欲しいな」
「それなら結城さんが! きっと味方してくれるはずです」

 楓はうなずき、続けた。

「志桜にもひとつ頼みがある。KAMUROの萩田社長と面会する場を設けてもらえないか?」
「社長とですか? 今回の騒ぎの件で?」

 楓が現社長、愛奈の父と会いたがる理由を志桜はそう推測したけれど、楓は静かに首を横に振った。

「もうひとつ、まだ志桜も知らない罪があるようでね」
「え?」

 志桜がまだ知らない罪について、彼が語り出す。
 その話はあまりにも衝撃的だった。だけど……。

「私、真実が知りたいです」
「あぁ、必ず突き止める」

 話を終えて、「そろそろ失礼するよ」と彼がクッションから腰を浮かせる。下まで見送ろうと志桜も立ちあがった。

「それ」

 楓は志桜の胸元に目を留め、嬉しそうに口元をほころばせた。

「つけてくれたんだな」
「あっ」
< 205 / 226 >

この作品をシェア

pagetop