悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
 この話は社内ですぐに蘭が広めてくれ、おまけにそのタイミングで【インフルエンサーのゴウ、薬物使用疑惑はシロだった】というニュース続報も入った。
 あのバーが違法薬物売買の拠点になっていたのは事実だったものの、彼は潔白だったようだ。

「とにかく、これで神室さんの疑惑は綺麗さっぱり晴れましたね」
「うん、本当にありがとう。結城さん」

 会社近くのカフェでランチをしながら、志桜は蘭にあらためて礼をする。楓や蘭の協力のおかげで、今はもう社内であの噂を口にするものはいなくなった。
 が、蘭はそれでも怒りがおさまらない様子だ。

「名誉毀損で訴えちゃいませんか? ほら、今回の件で好き放題に言われたゴウも開示請求するって匂わせて、話題になっているじゃないですか」
「いやまぁ、そこまでは」

 ネットニュースなどで大きく話題にされていた彼と自分ではさすがに状況が違うだろう。わりと冷静な志桜とは対照的に、蘭の怒りはヒートアップする一方だ。

「いっちばん恥知らずなのは、あのヤバ女ですよ」

 蘭のなかで愛奈のあだ名は〝ヤバ女〟で定着したらしい。

「自分で広めたくせに、ぶりっ子顔で『私は最初から志桜じゃないって信じてた。バカげた噂話はもうやめましょう』なんて言ってましたからね!」
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