悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
 愛奈の口ぶりまでマネて、蘭が教えてくれる。

「きっと自分が犯人だとバレるのが怖くなって、必死に噂をなかったことにしようとしてるんですよ」

 それについては、おそらく蘭の読みが正解だろう。

『なにもかも自分の思いどおりになると信じて疑わない、彼女は小さな子どもと一緒だ』

 楓は愛奈をそう評していた。事実、彼女は楓に拒否される可能性を少しも考えていなかったのだと思う。それらしい写真をでっちあげて志桜の悪評を拡散。そして、いつだったかの彼に使ったのと同じ手口で楓を誘惑する。

(これまではうまくいっていたから、楓さんにも通用すると思ったんだろうな)

 だから、愛奈は現状にひどく焦っているはず。楓に拒まれたあげく、合成写真を見抜かれるなんて反撃を受けたときの対策はいっさい考えていなかっただろうから。

「愛奈としては、このまま有耶無耶になってくれるのが最善策だものね」
「そうはさせませんよ~、絶対に!」

 鼻息荒く、蘭はこぶしを突きあげた。

 そうして、あの写真がばらまかれた日からちょうど半月後。土曜日の昼さがり。
 KAMUROの現社長である英輔、愛奈、楓と志桜の四人での面会が実現した。
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